『必生、闘う仏教』 佐々井秀嶺(集英社新書)



 1967年にインドに渡り、仏教復興運動の先頭に立ってきた佐々井氏。彼は多くのインド人仏教徒から支持され、2003年にはインド政府少数者委員会の仏教徒代表にも選出された。本書は、彼の語りをまとめた一冊。
 インドでは「ダリト」といわれる最底辺のカーストの人々が、ヒンドゥー教を捨てて仏教徒に改宗する動きがある。佐々井氏は彼らを率い、その権利獲得を訴えてきた。

 佐々井氏は、ヒンドゥー教徒が握るブッダガヤーの大菩薩寺管理権を仏教徒の手に奪還する闘争を展開。時に命を狙われてきたという。
 彼は厭世的な仏教を嫌い、「闘う仏教」を標榜する。不当な行為に対しては非暴力で徹底的に抵抗し、時には「必要最小眼の力の行使」を選択する。曰く「座禅や瞑想は、立ち上がってからなにをするか、そのためにあると思います」。

 苦悩の中、自殺未遂を繰り返し、絶望の淵に立った若き日のことも赤裸々に語られている。仏教との出会いも生々しい。
 「さあ、立ち上がってください」というメッセージは重い。

中島岳志(北海道大学准教授)
 
(朝日新聞 2011-1-16) 



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