「図解 フィンランド・メソッド入門」



 世界でもっとも進んだ教育先進国といえば、いまはフィンランドである。経済協力開発機構(OECD〕による06年の国際的な学習到達度調査で、科学1位、読解2位、数学2位。本書は、その教育方法を簡潔に紹介している。

 著者はフィンランドの日本国大使館に在勤した元外交官で、帰国後退官して「フィンランド・メソッド」の普及につとめている。その柱は、@発想力A論理力B表現力C批判的思考力Dコミュニケーション力、の5つ。

 たとえは、論理力。品詞を教える国語の授業で、先生が「机は何?」と聞く。生徒は「名詞です」。日本なら「よくできました」で終わりだが、フィンランドでは先生はなおも「ミクシ?(どうして?)」と聞く。生徒たちに、あらためて名詞とは何かを考えさせるのだ。
 表現力。これも日本とずいぶんちがう。作文は、先生が10〜20個の語句を指定して、それらを全部使って「できるだけ短く」書くように指導する。これにより、言いたいことを相手にわかりやすく提示する技術が身に付くとする。

 「フィンランド・メソッドの特徴は、答えがないことです」と編集担当者。「考える力」を獲得することが目的なのだ。
 初版は3年前。「こんな教え方があるんだ」といっていたメーンの読者層である小中学校の教師のなかに、教育現場で取り入れる動きもあるという。

 著者は、日本の小中学生に「発想力がまるでない」ことを嘆く。そして、何かを発想するのには「型」が必要なのだとする。ビジネスマンにも読まれているというが、その発想の豆を知って、大人にも小さな希望がわいてくる感じがする。

(経済界=1500円)

(2008−3−9 朝日新聞)



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