『スピリチュアル市場の研究』 有元裕美子(東洋経済新報社)



 近年の癒やしブームに呼応して、スピリチュアル関連ビジネスが急成長しているという。古くは祈祷、お祓いの類だが、21世紀に躍進著しいのは占いサイトやWEBヒーリング。精神世界もデジタル化しているのだ。

 超能力、オカルトは胡散臭いが、スピリチュアルと言い換えると、おしゃれで洗練されたイメージになる。消費の中心は20〜40代女性のライトユーザーで、市場規模は1兆円との見立ても。各種セラピーや占い、風水、ヨガ、気功から、関連グッズの販売、研修と範囲は広く、もはや「キワモノ扱い」できない存在に。本書では「数少ない成長産業」である同市場を、客観的な調査データを軸に読み解く。

 人気の背景にあるのは増大する社会ストレスだ。リラックス効果や健康増進を求めて手軽に利用するのが当世流。なんと女性の4分の3は利用経験者というが、パワーストーンのブレスレットをはめた中年男性もよく見かける。相補・代替医療としての役割に注目し「スピリチュアル・ヘルス」を謳うデイサービスも登場。伊勢神宮、屋久島などのパワースポットも盛況だ。

 先行者利益を狙うなら黎明期の今が好機か。現在、大企業の参入が続く健康食品も、以前は「怪しげなもの」だった。震災後に広がった心の豊かさ重視の傾向も追い風になるだろう。
(梶山秀子:ジャーナリスト)

(朝日新聞 2011-5-22)



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