話題の本棚……米国発金融危機



 米国のサブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)問題に端を発した金融危機は、米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻を機に一気に世界に広がっている。危機の原因や影響を分析する本が、揺らぐ金融大国アメリカの深層に鋭く迫っている。

 『ソロスは警告する』は、「崩壊しつつある住宅バブルにすっぽり覆いかぶさるようにして進行中なのが、もっとずっと大きなバフル、いわば超バブルの終結局面だ」と指摘。「超バブル」は、@際限のない信用膨張、A金融市場のグローバル化、B金融規制の撤廃という3つのトレンドにより、80年代に始まった、と分析し、サププライム危機は、超バフルの崩壊のスイッチを入れた引き金にすぎない、と主張。現在、「大恐慌以来初めて、国際金融システムは正真正銘のメルトダウン一歩手前」と警告する。

 『世界金融危機』は、現在は、資産価格の急落(資産デフレ)と資源価格の高騰(資源インフレ)という対照的な現象が同時進行する異常事態が起きていると指摘。米連邦準備制度理事会は資源インフレを警戒して、思い切った金融緩和政策をとれず、信用収縮は一層加速する、と予想する。

 『反米経済』は、米国経済が大不況に陥ったとしても、世界経済全体が壊滅的な打撃を受ける可能性は低いと予測。根拠として、世界経済に占める米国の相対的な地位の低下を挙げる。今回の危機は「米国一極集中時代の終焉」と「多極化時代の到来」を告げる出来事だとして、「米国離れにしなければ日本は米国経済の衰退にまきこまれてしまうと警告する。

 リーマン破綻より前の9月上旬に発売された『恐慌前夜』は、「アメリカでこれから30社ぐらい、大銀行、大証券会社……が潰れる」と予測。「来年、再来年までには消えてなくなる」金融機関としてリーマンなど数社の実名を挙げていた。

■ジョージ・ソロス著『ソロスは警告する、超バブル崩壊=悪夢のシナリオ』
 金融投資家の著者が、金融界での半世紀にわたる経験をもとに、巨大なバフルの発生・成長から崩壊までの過程を分析・解説する。(徳川家広訳、講談社・1680円
 〕
■金子勝、アンドリュー・デウィット著『世界金融危機』
 経済・財政学者と政治経済学者の2人が、世界的規模の金融危機と世界同時不況の現状を解説し、社会崩壊の危機を回避するために抜本的な政策転換を提言する。(岩波書店・504円)

■門倉貴史著『反米経済、凋落するアメリカに追随してはいけない』
 サブプライムローン間題の世界経済への影響を分析し、「米国一極集中時代」の後の世界経済がどうなるかを考察する。(PHPエディターズ・グループ発行、PHP研究所発売・1575円〕

■副島隆彦著『恐慌前夜、アメリカと心中する日本経済』
 評論家の著者が、米国の金融危機の実態を解説し、その危機の今後の広がりを予測し、米国発金融危機が世界経済や日本経済に及ぼす影響を分析する。(祥伝社・1680円)

(2008-11-9 朝日新聞)



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