大混乱の米大統領選挙



  2021年1月20日 、アメリカの第46代大統領に民主党のジョー・バイデンが就任した。就任式は新旧大統領が顔をそろえるのが恒例だが、トランプ前大統領は欠席した。バイデン新大統領は78歳、歴代大統領では最高齢となる。トランプ陣営は「不正選挙」を主張し]、再集計及び法廷闘争を行ったが、バイデン勝利の結果は変わらなかった。

 アメリカは、自由と民主主義を旗頭に世界をリードしてきたが、今回の大統領選挙の大混乱で国家ぐるみの不正が露呈した。選挙報道の中で「ディープステート」という言葉をよく目にしたが、「影の政府」という意味だ。金融家、資産家、高級官僚など一部のエリート層の集合体である。大統領は、これを無視できない。歴代の大統領を振り返ると、暗黒の歴史が見えてくる。

 1945年、日本に原爆投下を命令したのが、トルーマン大統領(民主党)。アメリカは、第二次世界大戦を終結させた正義の決断だったとしている。
 私の記憶にある衝撃的な事件が、1963年のケネディ大統領(民主党)暗殺だった。テキサス州ダラスでパレード中に暗殺され、この模様は衛星中継された。銃弾は複数の方角から発射され、単独犯とは考えられない。犯人とされたオズワルドは、2日後にダラス警察署でジャック・ルビーに銃撃されて死亡した。ケネディは冷戦の終結とベトナム戦争撤退を計画したため、暗殺されたという指摘がある。経済的には、政府ドルを発行したことだという。

 1968年、弟のロバート・ケネディは大統領選への出馬を表明したが、カリフォルニア州ロサンゼルスで暗殺された。犯人は、パレスチナ系アメリカ人のサーハン・ベシャラ・サーハン。同年には、キング牧師も暗殺されている。
 1981年には、レーガン大統領(共和党)暗殺未遂事件があった。犯人は、ジョン・ヒンクリー。
 1991年、イラクによるクウェート侵攻をきっかけに湾岸戦争が起こった。大統領は、ジョージ・H・W・ブッシュ(共和党)。

 2000年の米大統領選は、クリントン政権の副大統領アル・ゴア(民主党)と、テキサス州知事ジョージ・W・ブッシュ(共和党)の大接戦。フロリダ州における両者の得票数が僅差であったことから36日間の再集計と法廷論争が行われた結果、ブッシュが勝利した。2001年、アメリカ同時多発テロが勃発。人類史上最悪のテロ攻撃だとされたが、アメリカの自作自演との疑惑も起こった。ブッシュ大統領は、アフガニスタンのタリバン政権に攻撃を開始した。2003年、大量破壊兵器保持を理由にイラク戦争が勃発した。

 2016年の米大統領選挙で、ヒラリー・クリントン(民主党)とドナルド・トランプ(共和党)が対決し、多くの世論調査を覆しドナルド・トランプが勝利した。得票数ではヒラリーがトランプを上回っていたが、民主党の地盤とされた州でトランプが勝利を重ね、選挙人獲得数ではトランプがヒラリーを上回り、勝利が確定した。
 トランプ大統領は、アメリカファーストを宣言した。一部のエリートに富みが集中するグローバリズムに我慢できなかった。あくまでもアメリカの中間層の味方だった。ビジネスマンで政治経験がなく、ストレートな言動が反発を招いた。米主要メディアやジャーナリストは民主党を支持しており、トランプをことごとく批判した。

 外交では、暴発寸前の北朝鮮を押しとどめ、中東諸国とも融和をはかった。それに反し、露骨な覇権主義を続けるチャイナに対しては、徹底的に対決した。香港やウイグルの対応をめぐっては、さまざまな制裁を科した。習近平は、是が非でもトランプを追い落とそうとしたに違いない。
 新大統領のバイデンは、息子のハンターとともにチャイナから巨額の融資をうけているとの疑惑がある。2019年、トランプは中国政府に対し、バイデン親子を調査するよう呼びかけた。

 2020年の新型コロナ問題では、テドロスやWHOがたびたび中国への擁護を繰り返す発言を行い、世界的に批判の声が上がった。トランプは、WHOへの拠出金を停止する考えを表明した。テドロスは、エチオピアのティグレ人民解放戦線のリーダーだった。

 2020年5月のジョージ・フロイド事件を発端として、BLM(ブラック・ライヴズ・マター、黒人の命は大事だ)運動が全米各地に広がった。黒人人権運動を推進するための組織「ブラック・フューチャー・ラボ」は、中国共産党と関係のある「華人進歩会」の寄付を受けて2017年に設立されている。ここにもチャイナの策略がみえる。国内ではチベット・ウイグルを弾圧していながら、アメリカの黒人運動を支援するとはどういうことか。アメリカ社会の分断・弱体化を狙っているとしか考えられない。

 ポンペオ米国務長官は執務の最後の日(2021年1月19日)、チャイナによるウイグル弾圧に関し、国際法上の犯罪となる「ジェノサイド(民族大量虐殺)と人道に対する罪」を認定した。新国務長官のブリンケンは公聴会で、トランプ政権によるジェノサイド認定に「同意する」と述べた。バイデン新政権は、チャイナに対して後戻りは許されない。

 チャイナは既にチベット・ウイグルを占領支配し、南沙諸島を埋め立て基地を造った。チャイナの次なる目標は台湾や尖閣諸島だ。2021年1月、中国海警部隊の活動について定めた「海警法」が成立し、武器使用が可能となった。これで沖縄の石垣漁民は、安心して漁に出られない。
 バイデンと習近平が裏で手を結べば、チャイナの世界支配が完了したも同然だ。

(2021-1)



目次   


inserted by FC2 system