「革命の世紀」終えん……大粛清したポル・ポト



 一つの側面から見れば、20世紀は革命と社会主義実験の世紀だった。ロシア革命に続いてソ連・東欧圏の形成、中国、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、キューバ、インドシナ3国の社会主義の成立とその崩壊、あるいは修正された形への転化など、世紀末になって実験とその結果がほぼ出そろったと言えるだろう。

 ソ連の崩壊は、世界を規定していた冷戦構造を根底から変え、中国の開放経済体制への移行は地球規模での経済構造の変化につながっている。

 これらの社会主義実験の中でも、1975年から79年までのポル・ポト政権による民主カンボジアの実験は異彩を放っている。毛沢東の文化大革命に触発されたと思われる徹底的な農本主義的原始共産社会を目指した革命は、一切の家族関係や知識階級を排除し「純粋培養した子供たち」だけによる国家建設を追求した。だが、その過程で100万人とも200万人ともいわれる国民が、血の海の中に消えていった。スターリンにも比肩される大粛清を実行したポル・ポトとは、どんな男だったのだろうか。(中略)

 あれから18年余り。世界の革命史に特異な足跡をしるした、あまりにも独善的な一人の「革命実験家」が、公式には未確認ながら「捕われの身」のうちにこの世を去った。革命の世紀の終えんである。

(琉球新報 1998-4-17)



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