「法輪功」の根絶図る中国当局



 巨大な気功集団「法輪功」を根絶やしにするため、中国当局は米国在住の創始者、李洪志氏(47)を国際指名手配。建国50周年に当り「国内の安定維持」を至上課題に、内外からの反発覚悟で危険なかけに踏み切った。宗教的な民間結社との建国後初の「思想政治闘争」に勝利できるのか。

 「改革・開放政策下で、社会主義イデオロギーが希薄化する一方、汚職や拝金主義がはびこり、貧富の差が広がって心のよりどころを失った中高年者や女性が法輪功に走った」(大学講師)。中国の知識人の間ではこうした見方が多い。「中国の歴史を見れば、宗教結社の反乱は、社会の大混乱の兆し」(日本人中国研究者)と党の権威と指導力低下を指摘する声もある。中国の指導者達は、末期の清朝を苦しめた宗教結社、白蓮教や義和団と「法輪功」のイメージを重ね合わせて、危機感を募らせたのかもしれない。

 「法輪功」は中国の伝統的な健康法、気功に加えて、独自の仏教的な教義を持つ。李洪志氏は「末法思想」と「法輪功信仰による救済」を唱え「わたしの言葉だけが唯一の教え」としてメンバーへのカリスマ性を高めた。

(琉球新報 1999-8-4)



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