日本人へ苦言…ゾマホン・ルフィン



 TBS系の人気番組「ここがヘンだよ日本人」でいつも怒っている、ゾマホン・ルフィンさん。晴れやかな民族衣装を着こなし、現代日本人の無軌道ぶりをしかりまくる。

 「日本はずっとあこがれの国だった。地下資源が乏しいのに、敗戦で何もかも失ったのに、どのようにして経済発展できたのか。そして、礼儀正しい国民性はどこからくるのか、不思議だったんです」
 1964年、西アフリカのべニン共和国生まれ。ベニン大、北京言語文化大を経て、96年から上智大大学院に在籍し、月約4万円のアパートでの一人暮らし。アルバイトで糊口(ここう)をしのぎながら、日本の教育制度、途上国問題を研究している。

 「特に江戸時代の日本人は偉かった。あの時代の日本人が知恵を欠いていたら、日本もアフリカ諸国のように欧米の植民地になり、自分たちの言葉と文化を失っていたはず。外交の経験などほとんどなかったのに、素晴らしい」

 翻って20世紀末の日本。若者は伝統文化から遊離し、大人たちはグローバル化の急進に右往左往。
 「途上国にとって、奴隷制度と植民地政策、そしてグローバリゼーションは、同じ搾取のシステム。江戸時代の知恵をもって慎重に対処しなければ、近い将来、日本文化はなくなってしまいますよ」

 日本人への苦言の書「ゾマホンのほん」(河出書房新社)をこのほど出版。教育制度がいかに重要か…日本で学んだ成果を生かすため、本書の印税をすべて、祖国の学校づくりなどに充てるという。
 「日本人にはアフリカに目を向けてもらいたい。そして、互いに真の友情を培ってほしい。それに役立つなら、これからも厳しいことを言うつもりです」

 日本文化の擁護論、反感をいとわない直言、苦学、ちょっとレトロ…。そのイメージは、幕末の志士に重なって見える。

(琉球新報 1999-10-13)



目次 トップ


inserted by FC2 system