「味の素」問題…インドネシア政府が見解



 インドネシア政府は10日、食品大手「味の素」の現地合弁会社アジノモト・インドネシアが豚肉の酵素を使って製造した調味料について「豚の成分は製品には残っていない」との見解をあらためて発表した。しかし、イスラム教徒が摂取できるかどうかの宗教的判断は回避した。

 ワヒド大統領が九日に「製品は『ハラル』(イスラム教徒が摂取できる食物)」とする新たな見解を表明。大統領の意向で政治的な早期決着が図られるとの見方も出ていたが、政府がハラルの判定を避けたことで、問題は長期化しそうだ。

 10日に記者会見した保健・社会福祉省のサンプルナ食品飲料監督局長らは「科学的には豚からの生成物は最終製品に一切残っていない」とする一方「宗教上の判断はできない」と述べた。

 9日のワヒド大統領の発言に対し、同社の製品を摂取不可との結論を出したイスラム団体「ウラマ(イスラム学者)評議会」は反発。評議会幹部は10日、「ハラルの判定は評議会の専権事項で、政府機関の仕事ではない。製造過程でも豚が使われれば摂取は許されない」と語った。
 政令により、食品の「ハラル」認定はウラマ評議会の審査結果を踏まえて宗教省が出すことになっている。

(琉球新報 2001-1-11)



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