米電力危機…重い自由化の代償



 米カリフォルニア州の電力危機は19日、州政府が4億ドルの財政資金を投入する事態に発展した。基本的にすべてを市場原理にゆだねようという野心的な電力の自由化だったが、失敗の代償はあまりにも重く、日本のエネルギー政策にも影響を与えそうだ。

 「冷蔵庫が使えなければ商売は上がったり。腐った商品を売るわけにはいかないわ」。サンフランシスコで食料品店を経営する女性は途方に暮れる。
 消えた信号機、途中でストップするビルのエレベーター、宿泊予約リストを入れたコンピューターがダウンしたホテル。情報技術(IT)の最先端を走る同州の中部、北部で今月17、18日に起きた計画停電はそれぞれ約2時間にわたった。

 被害はシリコンバレーにあるハイテク企業の一部にも及び、ただでさえ地価や人件費が高いこの地区を敬遠する動きを加速する恐れもある。
 「消費者は年間6、7億ドルの利益を受け、電力事業者も繁栄する」。今や倒産の危機に直面している電力大手パシフィックガス&エレクトリックの関係者は自由化実施前の1997年、自由化に甘い期待を抱いていた。

(琉球新報 2001-1-21)



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