分離フェンス司法判断へ…パレスチナ問題



 国連総会は8目、ヨルダン川西岸にイスラエルが建設中の「分離フェンス」問題で緊急会合を開き、同フェンスの合法性について国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)に「勧告的意見」を求める決議案を賛成多数で採択した。採決では賛成90、反対8、棄権74だった。日本は棄権した。

 決議案は、パレスチナが中心となりアラブ諸国などが共同提案。ICJにフェンスの違法性を認定させるのが狙いで、米国やイスラエル、オーストラリアなどが反対した。欧州の主要国などは、ICJに問題を持ち込めば政治対話を妨げる恐れがあるとして棄権に回った。、パレスチナ自治政府のキドワ国連代表(大使に相当)は会合で、イスラエル政府を「ファシスト」と決めつけ「イスラエルがフェンス建設を続ければ、パレスチナ新和平案(ロードマップ)は終わりだ」と警告。

 これに対しイスラエルのギラーマン国連大使は「フェンスはテロを主導するアラファト(自治政府議長)が造ったようなもの」と反発、非難の応酬となった。国連総会は、いかなる法律問題でもICJの勧告的意見を要請できると国連憲章で定められている。同意見に法的拘束力はない。

(分離フェンス)
 パレスチナ過激派のテロを防止する目的でイスラエルが占領地のヨルダン川西岸で2002年6月から建設。全長約350キロの予定。大部分は高さ約3メートルで、不審者探知用の電気センサーが付いている。フェンスのパレスチナ側には幅2メートル前後の溝を設け、鉄条網の障害物を置く。イスラエル側には軍パトロール用の道路、不審者の足跡が残る帯状の砂地、鉄条網の障害物、監視カメラを設置。パレスチナ自治政府は占領を固定化するとして建設中止を要求している。

(琉球新報 2003-12-9)



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