イラクに大規模空爆



 米英軍はハイテク技術と大量の爆弾の破壊力でイラク軍を圧倒する、大規模空爆「衝撃と恐怖」作戦に踏み切った。攻撃の全体的な規模などは不明だが、大量の精密誘導爆弾を浴びせるこの作戦は、「ビッグバン」(宇宙大爆発)とも呼ばれ、イラク軍の戦意を喪失させ投降を誘う狙いを持つ。しかし、人口約500万の首都バグダッドで、爆撃で生じたきのこ雲がいくつも上がるテレビ映像は、米英軍の圧倒的な殺りく力とともに市民の大きな犠牲も想像させ、国際的な反戦世論をあおる可能性がある。

《石油権益争い活発化へ》
 米国が対イラク武力行使に踏み切ったことで、世界第2位の原油確認埋蔵量を誇るイラクの油田開発をめぐり、フセイン政権後をにらんだ権益争いが各国間で活発化しそうだ。フセイン政権下で油田開発交渉を進めてきたフランスやロシアなどと、石油業界をバックにした米国のブッシュ政権との間で駆け引きが展開されるとみられる。

 フランスとロシアは、イラン・イラク戦争が行われた1980年代の武器輸出で、イラクに多額の債権を保有。石油開発の利益による債権回収を目指し、早くから国連の対イラク経済制裁の解除をにらんでイラクと交渉を続けてきた。

 フランスは、石油大手トタールフィナ・エルフが90年代半ばから交渉を開始。イラク南東部のマジヌーン油田(推定埋蔵量100億〜300億バーレル)やナハルウマル油田の開発に向けて協議してきた。
 ロシアは、石油大手ルクオイルの主導するロシア企業連合体が97年3月、イラク南東部にある世界最大級の西クルナ油田(確認埋蔵量150億バーレル)の開発で、投資総額約38億ドル(約4500億円)の契約に調印した。

 しかし、フセイン政権崩壊後の権益維持を狙ってルクオイルがイラク反体制派と接触したことから、イラク側は昨年12月、契約破棄を通告。その後、対イラク攻撃に反対するロシアとの関係悪化を懸念し、別のロシア企業に油田開発権交渉の優先権を与えるとした。
 一方、出遅れていた米国は、石油開発で利権獲得を目指す。また、イラクの石油生産能力を高めることで、石油輸出国機構(OPEC)の意思決定をリードするサウジアラビアの弱体化ももくろんでいるとされる。

(琉球新報 2003-3-23)



目次 


inserted by FC2 system