イスラエル、分離フェンス「建設中止しない」



 イスラエルが「テロ対策」を理由としてヨルダン川西岸などで建設中の分離フェンスについて、国連総会が撤去を求める決議を20日に採択したことを受け、イスラエルのギシン首相報道官は21日「イスラエルには自衛権があり、建設を中止することはない」とのコメントを発表した。

 イスラエルが決議無視の方針を鮮明にしたことで、国際社会の批判が強まるのは必至。イスラエルは今後「テロの脅威」を強調する外交宣伝に努める一方、西岸のパレスチナ人居住区への食い込みを減らすようフェンスのルート変更を繰り返すとみられる。

 パレスチナ自治政府のアリカット交渉相は同日、国連総会決議を「歴史的な決定」と評価した上で、国際社会が「今後も(フェンスの)建設中止に向けパレスチナを支援してほしい」と期待感を示した。

 イスラエル外務省は国際司法裁判所(オランダ・ハーグ)が9日にフェンス撤去を求める勧告的意見を出す前から、国連総会での厳しい判断を予想。決議への賛成票切り崩しのため「治安上の重要性」を強調し、欧州諸国に賛成ではなく、少なくとも棄権に回るように説得を続けた。しかし、結果は賛成150、反対6、棄権10の圧倒的賛成多数での採択だった。

(琉球新報 2004-7-22)



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