劣化ウラン弾…地球と人類への犯罪



 イラク戦争や世界の核汚染の取材で知られるフォトジャーナリストの森住卓さんが1日、那覇市で開かれた日本平和大会のシンポジウムで「今度の戦争の前のイラクがどういう状況にあったのか知ってほしい」と、湾岸戦争後の劣化ウラン弾による深刻な被害を告発した。

 生まれたばかりの無脳症の赤ちゃんの写真。「ドクターは私を呼び、『この子は30分後に死ぬ。しっかり撮りなさい。あなたが世界に伝えることで、この子が生まれた意味があるんだ』と言った」と語ると、会場は静まりかえった。

 子ども専用という墓地に数え切れないくらいの墓標。「湾岸戦争後にイラクで100数10万が死んだと言われているが、殺されたのだと思う。一番被害を受けたのは何の罪もない子どもたちだ」

 10年間でがんの患者数が18倍に。「ピークがいつになるか分からないままに、また大量に劣化ウラン弾が使われた。今回はバグダッドなど人口密集地にも使われた」「アメリカは取り返しのつかないことをした。内部被ばくでがんを起こすウランの半減期は45億年だ。地球と人類に対しての犯罪だ」と怒りを込めた。(琉球新報 2004-2-6)

(劣化ウラン)
 天然ウランを原子炉燃料などに使用する際に、濃縮する過程で生じる低レベル放射性物質。高密度のため、厚い装甲を貫通する弾の材料として、戦車の砲弾や航空機の機関砲弾に利用されている。1991年の湾岸戦争で米軍が使い、イラク戦争でも使用された。

 残存する放射線により住民らに白血病やがんなどの健康被害が続出したとの指摘があるが、米国は「科学的検証で人体や環境に対する影響を示す証拠はない」と否定的な立場を取っている。

(琉球新報 2004-4-5)



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