復帰特別措置、延期は不透明



 泡盛やビールなどの酒税やガソリン税を軽減する税制関連の復帰特別措置が2年後の2007年5月に期限切れを迎える。復帰以降5年ごとにこれまで6回にわたって延長されており、既に業界関係者からは再延長を求める声が上がっている。だが、復帰に伴う混乱を回避する激変緩和措置が30年以上も続いていることから、政府内には再延長に否定的な意見がある。07年以降の優遇措置の再延長は不透明な情勢だ。

 復帰特別措置に伴う2003年度の酒税軽減額は40億8300万円、1キロリットル当たり7000円軽減される揮発油税・地方道路税の02年度の軽減額は約44億円に上る。

 酒類業界関係者は、特別措置が廃止された場合は「県民所得が依然として全国最下位の県民に厳しい負担を強いる」と制度存続の必要性を訴えている。県は、泡盛やビール市場の動向、事業所統廃合など業界再編の動き、制度廃止の影響の度合いなどを把握した上で、国への延長要求などを含めた対応方策を検討する方針だ。

 石油業界関係者も「モノレールは導入されたが、県内の交通手段はマイカーやバスが中心。鉄道整備が進むまでは特別措置は必要だと延長を要望する。
 県は離島の石油製品価格を安定させるため、独自に1キロリットル当たり1500円の石油価格調整税を課税し、離島への輸送費を補助している。特別措置の廃止で「補助金もなくなり、輸送費が転嫁されるので、南北大東島では1リットル当たり20〜30円高くなる」と、離島地域の負担増を懸念している。

(復帰特別措置)
 沖縄の復帰に伴い、本土の諸制度への円滑な移行を図るため、制度改革による個人や企業への影響を抑えるために導入された復帰特別措置法に基づく激変緩和措置。期限は原則5年間で、2002年5月に6回目の延長がなされた。税制関係の特別措置は、復帰当初は27項目あったが、この間に多くの特別措置の役割や効果が薄れたため、02年の税制改正では酒税軽減措置、揮発油税・地方道路税軽減措置、輸出物品販売場の消費税免税の3項目だけが再延長された。

(琉球新報 2005-5-14)



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