中国共産党を批判……焦国標(元北京大助教授)



 中国にもこういう大学教授がいたのだ。焦氏は、当局を批判したため大学を追われ、現在はアメリカで研究生活を送っているという。また、共産党政権下の政治闘争で7000万〜8000万人が死亡しているという。



《反日感情は「教育の結果」》
 中国共産党の宣伝部門を痛烈に批判、昨年大きな話題となった論文「中央宣伝部を討伐せよ」の著者で元北京大助教授の焦国標氏が中国の反日感情は「抗日教育の結果」などと非難、別の中国の学者が猛反発し論争が起きている。

 焦氏は、9月にソウルで開催された国際会議で、東アジア情勢について、1.日中関係の悪化は中国の抗日教育、2.台湾独立の動きは1989年の天安門事件に対する反発、3.北朝鮮の核問題は中国による北朝鮮擁護…が原因として「不安定要素は中国が作り出している」と指摘した。

 これに対し、同じ会議に出席していた清華大教授がネット上でやりとりを公開して「中国人として恥ずべき発言」と猛反発。特に焦氏が戦前日本の「大東亜共栄圏」の分析を試みたことを指摘して「この問題で日本を許すことはできない。学術課題とすること自体に絶対反対だ」と非難した。
 焦氏はこの後も香港紙に「(戦前を含め)日本の方が中国より文明的だ」と指摘し、「政治闘争で7000万〜8000万人が死亡した共産党政権下を含め、すべての王朝で残虐な大量虐殺が起きている」として日本の侵略を特別視する共産党の歴史観を批判する論文を発表した。

 中国のネット上では焦氏を「売国奴」などと非難する書き込みが相次いでいるほか、「帝国主義の手先に対する闘争を強めよう」と警戒感むき出しの長文の論文が発表された。一方、焦氏は「中日関係は複合的な視点から冷静に分析する必要がある」と反論している。
 研究先の米国から一時帰国した焦国標・元北京大助教授に聞いた。(北京、共同=松岡誠))

◇小泉純一郎首相の10月の靖国神社参拝では反日デモが起きていない。
 「政府はことし4月メディアを最大限使って民族主義をあおり、日本の国連常任理事国人りを阻止した。今回は『反日』を口実に国民が反政府活動を強めることを警戒、厳しく統制している」
「政府は国際関係のトラブルを民衆の国内の不満解消に利用している。対象は日本と米国だ。中日関係の問題も中国の歴史教育、抗日教育が生み出している面があり、中国政府には和解の精神が足りない。中国が民主化してこそ中日関係の核心部分を緩和できる」

◇メディアの役割は。
 「共産党は政権維持のため宣伝力という武器を放棄しない。胡錦濤国家主席もこれまでの指導者と同じ(統制の)道を歩んでいる。インターネット規制も厳しく新聞などに掲載された論文だけしか発表できない」

(共産党中央宣伝部の批判論文)
 昨年春、中国の焦国標・北京大助教授(当時)がインターネット上で公表。2003年の新型肺炎(SARS)の感染者隠しを告発した軍医に関する記事掲載を宣伝部が不許可にしたことなどを非難。イデオロギー・宣伝部門を統括する宣伝部は憲法が保障する言論、出版の自由を侵害しているとして宣伝部を解散するか監督機関を設置するよう求めた。論文発表後、焦氏は当局による圧力を受け、今年3月辞職に追い込まれた。


(琉球新報 2005-11-7)

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