国産割りばし復活も


 最大の輸出国である中国が値上げしたために、割りばしの価格が上昇している。その影響で小売店は値上げに踏み切り、プラスチック製に切り替える居酒屋が出てきた。国産の間伐材で作った割りばしを復活させる動きも広がり始めた。

●値上げ相次ぐ
 林野庁によると、2005年に国内で流通した割りばしは約258億膳。うち輸入品は254億膳で中国産が99%を占める.昨年12月、木材や原油価格の上昇などコスト増を理由に中国の輸出団体は輸出価格を30%引き上げた。

 突然の値上げに日本の業界は対応に追われた。割りばし大手の大和物産〔奈良県五条市)は、最も安いシラカバ製の卸売価格を一膳60銭から、70〜80銭に引き上げ、日用品の卸売会社アサカ物産(東京都三鷹市)は、99円ショップ向け割りばし一袋を80膳から50膳へ減らした。

 全国で飲食店を展開するマルシェー(大阪市)は約760のほぼ全店でプラスチック製に切り替えた。「中国では山から伐採していると聞き、環境保護になればと思った」〔広報室)。衛生面を客が気にするとの懸念もあったが、今のところ苦情はないという。

●コノビニも販売
 緑の森が広がる奈良県南部・吉野地方。下市町で国産ヒノキの間伐材で割りばしを作る岡本朗さんは「はしの材料は端材。削った材料のカスも利用している」と話す。木目が浮かび上がりヒノキの香りが漂う割りばしは2〜4円前後で出荷され、旅館やすし店で使われる。
 国産材を使ったはしの生産量は、わずか約4億5000万膳(05年)。コストが安い中国に押され10年前の5分の1だ。

 国産割りばしの利用を広げ、森や林業を守ろうとする動きも活発化している。森林の一部を間引きする間伐は、太陽が当たるため下草が生えて保水力がある森を作り、土砂災害の予防、二酸化炭素(C02)吸収など環境保護につながるという。
 「あなたの5円で一緒に森を育てませんか」。コンビニのミニストップは6月から、一部店舗で国産ヒノキの割りばしを5円で売り始めた。「5円で環境保護に役立てるなら」と、1日4〜5膳が売れる。同社の須藤和幸さんは「産業が立ち直れば」と、7月末から全国に広げる方針だ。

●外食業界は反発
 割りばしを製造販売する内原商店(奈良県下市町)の内原弘嗣社長は「国産割りばしを使えば木材の有効利用や森林の活性化になる。プラスチックは石油製品。洗浄に水や洗剤も使う。環境に良いのはどちらなのか」と問い掛ける。その一方で外食業界には「国産は高すぎる。客からお金は取れない」との反論があるのも事実。岡本さんは「間伐材や機械に経費が掛かる。自然環境を守るのにもお金が必要。割りばしの値打ちが上がってほしい」と話している。

(琉球新報 2006-7-5)



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