西岸は「ゲットー」


 イスラエルの占領地、ヨルダン川西岸を視察したドイツのカトリック司教らがパレスチナ人の生活状態を「(ナチス・ドイツがユダヤ人を隔離した第二次大戦中の)ワルシャワのゲットーのような状況」と形容、西岸に建設中の分離フェンスや壁についても「ベルリンの壁」に例えて批判し、イスラエル側が反発している。

 ナチスによるユダヤ人大虐殺を語り継ぐイスラエルは、自国の政策をナチスと同列に扱われたことを「反ユダヤ主義」ととらえている。
 カトリック教会の司教ら27人はこのほど、一週間にわたりイスラエルや西岸を視察。南ドイツ新聞によると、ドイツ南部アイヒシュテットのパンケ司教は「午前中に(エルサレムのホロコースト記念館で)ワルシャワのゲットーの写真を見て、夕方には(西岸の)ラマラのゲットーを見た。悲惨だった」と発言した。

 さらに、ケルンのマイスナー枢機卿も別の新聞に、イスラエルがテロ防止を目的として建設している分離フェンスや壁について「このようなものを生涯二度と見ることはないと思っていた」と述べ、「ベルリンの壁と同様にいずれ崩壊するだろう」と予言した。
 こうした発言に対し、ドイツのユダヤ人団体「中央評議会」がハンケ司教らを非難。シュタイン駐ドイツ・イスラエル大使は声明で「政府の政策を批判するのは自由だが、言葉の選び方と歴史的背景の理解が必要だ」と強調した。

 写真は、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ベツレヘムで、イスラエルが建設した分離壁に写真を貼り付ける人たち。

    

(琉球新報 2007-3-20)



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