ヨガと食事


 渡久地茂子さん(82 沖縄市美里)は、80代の今も現役のヨガインストラクターとして活躍中だ。
 若いころの茂子さんは、20代で夫とともに立ち上げた自動車部品店を軌道に乗せるため、がむしゃらに働いていた。「知識もなかったから、お客さんとの話の中で、専門知識を覚えていった」という。「食事もできないくらい忙しくて、一生懸命だった」と振り返るが、50代の時、体調の異変を感じ、病院で検査した結果、早期の子宮がんが発見された。

 「東京の病院まで検査に行ったけど、やっぱりがんだった。医師には手術することを勧められたが、どうしても手術がいやで、健康法で何とか治そうと思った」といい、取り入れたのがヨガと食事療法だった。
 がんと言われたことで「どんなにお金があっても健康は買えない」ことを痛感し、体にいいことはどんどん取り入れ、悪いことは徹底的に排除したという。
 特に気を付けたのが、「体を冷やさないこと」。食べ物や生活習慣から徹底して取り組み、「真夏でも、クーラーは絶対つけない」という。

 さらに、体を軟らかく保つことで血流が活発になり、内臓にもいいだろうと考え、インドやイタリアヘ出掛け、ヨガの講習を受けた。学ぶ内に「神様に『ヨガをしなさい』と言われた感じ。天職だと思う」というくらいはまった。部品店の2階に部屋を設け、ヨガ教室を始めた。60歳で部品店を退職するまでは日中は部品店で働き、夕方からはヨガ教室と、「それまで以上に忙しかったかも」と振り返る。
 運動と同様に改善に取り組んだ食事は、玄米食に加え、「土の下にできる野菜は体を冷やさない」を実行し、根菜類を多く取り、生は避ける。さらにドクダミやクミスクチンなど、お茶にもこだわっている。

 健康に目覚めるきっかけとなった子宮がんは、その後の検査で「なくなっていた」。80代を迎えた現在も週に5コマのレッスンで、高校生から70代までの生徒とともに汗を流し、それ以外は「家にはあまりいないくらい遊んでいる」と元気いっぱいだ。
 取材中「80代の方が先生と聞いて、見学に」と70代女性が訪れた。体が硬いことを悩むその女性に「少しずつでいいから続けると、徐々にだけど絶対、軟らかくなるよ」とアドバイスしながら、レッスン生のためのお茶や黒砂糖の準備を始めた。

(琉球新報 2007-1-23)



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