ガザ「狂ったような状況」…イスラエルが市内攻撃激化



 パレスチナ自治区ガザで地上攻撃を続けるイスラエル軍は5日夜(日本時間6日未明)から、人口が密集している北部のガザ市を包囲し、イスラム過激派ハマスとの本格的な交戦状態に入っている。AFP通信は、空爆開始からの犠牲者数は592人に達し、そのうち160人以上が子どもだと伝えている。

■ガザ地区「天井ない監獄」
 種子島より少し小さい面積に約150万人が暮らす。うち約100万人が48年の第1次中東戦争で、いまのイスラエルにある故郷を追われた難民と子孫たちだ。
 総延長約75キロのイスラエルとエジプトとの境界は、金網フェンスやコンクリート壁でふさがれている。人や物の出入りができるのは5カ所の検問所だけ。住民はガザを「天井のない監獄」と呼ぶ。

 とくにイスラエルとの「2国家共存」に反対するハマスが07年6月にガザを支配してから、イスラエルはほぼ完全封鎖を敷いた。建設用資材や機械部品が入らず、生産した農産物などを輸出できない。もともと高かった失業率が今は5割を超すといわれる。
 封鎖による物不足で人々の生活は苦しい。入口の半数が国連の食糧援助に頼っている。医薬品も足りない。高度の治療が必要な重病患者がイスラエルなどへ行く許可をもらえず、死亡する例も相次いでいた。そこに、今回の空爆と地上戦が重なり、多くの住民が絶望的な状況に追い込まれている。

 エジプトとの境界には1000を超す密輸用地下トンネルがあったが、これも今回の空爆でかなり破壊された。
 もともと保守的な土地だが、イスラム教を厳格に守るハマスの下で、ベールをかぶる女性がさらに増えた。アルコールは厳禁。人々のささやかな楽しみは、地中海岸での水浴びだ。

(朝日新聞 2009-1-7)



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