高野山カフェ、東京に定着



 ごま豆腐を使ったスイーツ、瞑想儀式「阿字観」の体験教室……。東京青山に高野山金剛峯寺と南海電鉄が1〜6日の期間限定で開いた「高野山カフェ」。今年で3回目だが、すっかり入気イベントとして定着している。関係者は「(6年後の)開創1200年をアピールする良い機会になった」と喜んでいる。

 この企画は、都会の若い人にも高野山に興味を持ってもらおうと07年から始まった。東京都渋谷区神宮前5丁目の複合ビルを主会場にしている。ギャラリーには、お香をたき、曼茶羅や梵字を飾って雰囲気を出した。神秘的な空気の中で写経体験や、僧侶の指導で瞑想する「阿字観」体験には、毎回定員を超える申し込みがあったという。

 最も長い列ができたのは、1日100食ずつ限定の「高野山精進ランチ」と「高野山ごま豆腐スイーツ」。ランチは、野菜や穀物を中心にした精進料理のイタリア版。高野山の食材である高野豆腐を、桜のチップでスモークして鳥のササミの食感に似せた「スモーク・ド・コウヤトーフ」、酢の物をイメージしたトウガンの「ブラッドオレンジジュースソースあえ」などが並んだ。また、ごま豆腐をぺ一スト状にしてフルーツソースを添えたスイーツもあり、カフェは多い時で1時間待ちになるほどの人気だった。

 ここ数年、自然豊かな高野山に魅力を感じ、宿坊への宿泊や、写経体験を組み込んだツァーが、女性誌で掲載されて注目を集めているという。
 今回は、高野山開創1200年をアピールするため、会場にゆるキャラ「こうやくん」が出張したり、南海電鉄の観光列車「天空」の映像を流したりと、工夫をこらした。

 金剛峯寺の宗務総長公室の薮邦彦課長は「リピーターも多かったので成功です。東京からは遠いと思われがちですが、行程から自分を見つめ直す旅にして、楽しんでもらえると、うれしいです」と話していた。

(朝日新聞 2009-9-7)



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