イスラエルNPT加盟を…IAEA総会



 事実上の核保有国とされるイスラエルの核問題を巡り、アラブ諸国が、イスラエルに対し核不拡散条約(NPT)加盟などを迫る決議案を国際原子力機関(IAEA)に提出した。20日から始まるIAEA年次総会で採択を目指す。外交筋が16日、明らかにした。
 NPT未加盟のイスラエルは、自国の核保有について否定も肯定もしておらず、IAEAによる査察も一部の核施設に限られている。だが、米欧の研究機関によると、核弾頭保有数は少なくとも約80発に上ると推計されている。

 アラブ諸国は、核兵器開発疑惑を持たれているイランやシリアが厳しく批判されているのに、イスラエルの核が黙認されているのは「不公平だ」と主張。昨年の年次総会でもイスラエルのNPT加盟や、全施設でのIAEAの査察受け入れを求める決議案を提出し、小差で約20年ぶりに採択された。今回決議案の詳細は明らかにされていないが、外交筋によると、昨年とほぼ同じ内容とみられる。

 イスラエルを擁護する米欧は、アラブ諸国に決議案提出を思いとどまるよう説得を続けてきた。決議自体に拘束力はないが、背察には、オバマ米政権の仲介でイスラエルとパレスチナの直接和平交渉が再開したこの時期に、イスラエ.ルを刺激すれば「和平交渉に水を差す」との懸念がある。

 5月のNPT再検討会議で合意した、中東非核化に向けた20!2年の国際会議にも悪影響を与え、「イスラエルの参加が絶望的になる」(外交筋)として、採択を阻止する構えだ。一方、イスラエルはかたくなな態度を崩しておらず、先月、IAEAの天野之弥事務局長がペレス大統領らにNPT加盟や全施設での査察受け入れを検討するよう促したが、成果は得られなかった。

(朝日新聞 2010-9-18)



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