コーランを燃やす日…フロリダのキリスト教会



 

 米フロリダ州のキリスト教会がイスラム教の聖典コーランを燃やす行事を計画していることに対する批判が、イスラム世界だけなく欧州にも広がっている。
 DPA通信などによると、ドイツでは8日、ユダヤ人中央評議会のクノープロッホ会長が、独詩人ハイネの「本を焼く国ではやがて人を焼くようになる」という言葉を引用して「ぞっとする」と発言。ドイツ福音教会は「耐え難い挑発だ」と批判した。

 ドイツでは、ナチスドイツが政権に就いた1983年にユダヤ人による著作など「非ドイツ的」とされた書物がベルリンなどで焼かれた。書物にはハイネや精神分析の創始者フロイトらの著作が含まれ、言論弾圧の象徴となっている。こうした焚書の歴史を持つだけに、同国では書物を焼くことには敏感だ。また、イスラム圏での激しい反発でアフガニスタンに派遣しているドイツ連邦軍がテロなどの危険にさらされるのでは、という不安も出ている。

 ローマ法王庁(バチカン)の諸宗教対話評議会は8日、「聖なる本に対する常軌を逸脱した行為によって、悲しむべき暴力行為を和らげることはできない」との声明を発表。声明は「どの宗教であっても、崇拝と象徴の対象である聖なる本は敬われ、守らなければならない」とフロリダ州の行事を厳しく批判した。
 7日付のバチカン機関紙オッセルバトーレ・ロマーノも「誰もコーランを焼ぐべきではない」との記事を掲載し、バチカンの姿勢を明らかにした。

(朝日新聞 2010-9-9)



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