妻帯「戒律違反」……僧侶の訴え却下



 曹洞宗の僧侶が妻を持つのは開祖・道元(1200〜53)の教えに反するとして、栃木県足利市の男性僧侶(61)が大本山の永平寺(福井県永平寺町)に対し、僧侶の教育を改めるよう求めた訴訟の判決が22日、福井地裁であった。平野剛史裁判官は「裁判所が僧侶の教育を是正するのは信教の自由の侵害にあたる」と訴えを却下した。

 仏教には「不邪淫」という妻帯を禁じる戒律があり、厳格な仏教国の僧侶は妻を持たないのが一般的だ。しかし、日本は1872(明治5)年、太政官布告で妻帯を認め、僧侶の生活も変わっていった。
 男性僧侶は今年7月、妻帯を禁じる教育を永平寺に求める訴訟を起こした。「今の仏教界に乱れを正すよう伝えたかった」。永平寺は「判決についてコメントできない」としている。

 宗教人類学者で曹洞宗総合研究センター客員研究員の佐々木宏幹さん(81)は「道元の戒律を守ろうとする主張は理解できるが、仏教は文化や社会とともに変わり、広まった事実もある。妻帯は仏教界の永遠のテーマだ」と話している。

(朝日新聞 2011-9-23)



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