ルーマニア、魔女税見送り



 財政基盤が弱い中・東欧の国々は財源確保に苦労している。ルーマニアでは「魔女」が標的になった。国内に1千人以上いるとされる呪術師や占師で、古くから歴史の舞台裏で活躍。最近の世論調査でも約7割の人が「魔女の力を信じる」と答えている。
 長く正規の職業と見なされていなかったが、昨年1月、魔女にも16%の所得税などを課すべきだとの議論が浮上。これに対し、一部の魔女たちが「呪い」で報復すると騒ぎ出した。

 「人助けに税金なんて、民の血を吸うドラキュラ以下だ」。母親がチャウシェスク元大統領の妻のお抱えだったという占師のロジ力さん(47)は憤る。相談料は1件数百円から。「税金を払うほどもうけていない。そもそも秘密の相談に領収書は出せない」
 「呪い」が効いたのかは定かでないが、結局、手続きが煩雑になることなどを理由に「魔女税」の導入は見送られた。

(朝日新聞 2012-1-10) 



目次   


inserted by FC2 system