仏教徒、国連に反発……ミャンマー





 仏教徒とイスラム教徒の対立が起きているミャンマーで、国連や外国メディアに対する多数派の仏教徒の反発が強まっている。仏教徒に「国際社会はイスラム教徒寄り」との思いがあるからだ。経済や外交では海外とのつながりが強まる一方、宗教問題をめぐっては孤立感が深まっている。

 中部マンダレーで6日、米誌タイムなどに対する僧侶ら約500人による抗議デモがあった。タイム誌は7月1日号で、マンダレーの僧院に籍を置き反イスラム的な主張を掲げるウィラトゥ師の写真を「仏教テロの顔」とのタイトルとともに表紙に掲載した。これに仏教徒らが反発したのだ。
 21日まで約10日間、ミャンマーを訪れた国連人権理事会のキンタナ特別報告者は滞在中、仏教徒のラカイン族とイスラム教徒のロヒンギャ族の衝突が起きたラカイン州を訪問すると、ラカイン族住民の抗議デモを受けた。

 背景には昨年のキンタナ氏の報告書がロヒンギャ族に同情的だと受け止められていることがある。報告書は「ロヒンギャ族への差別に対する懸念」を表明していた。

 キンタナ氏は同国を発つ21日、宗教暴動があった中部メイッティーラを3月に訪れた際にも、自分が乗った車を約200人の群衆が抗議のため取り囲み、窓ガラスなどをたたいたり、けったりしたと、報道陣に語った。このため、イスラム教徒の避難民キャンプ訪問を断念せざるを得なかったという。
 ミャンマー政府側は「住民らは手紙を渡そうとしただけで安全上の問題はなかった」としている。

(朝日新聞 2013-8-28)



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