南京「30万人」の虚妄 



 中国が主張する「南京大虐殺」は「事実ではない」と主張する英国人ジャーナリストがいる。米紙ニューヨーク・タイムズ元東京支局長で日本滞在50年のヘンリー・S・ストークスだ。「歴史の事実として『南京大虐殺』はなかった。中華民国政府が握造したプロパーガンダ(謀略宣伝)だった」と強調する。
 昨年12月に発売した著書『英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄』(祥伝社新書〕は10万部を超えるベストセラーとなった。
 (中略)

■なぜ『南京大虐殺」は事実ではないのか
 「文献によると、南京市内のあちこちで散発的な暴力行為はあったが『大虐殺』という言葉を使って南京で起きたことを語るべきではない。虐殺はとても血なまぐさく目撃した人の記憶に残るものだが、むしろ日本軍が占領したことで、治安が回復した。『虐殺=より『事件」と呼ばれるべきだ」

■その理由は
 「そもそも国民政府の蒋介石や軍幹部が首都陥落直前に敵前逃亡し、南京ではあまり戦闘はなかった。中国兵が軍服を脱いで(民間人に偽装した)便衣兵や不良捕虜となったため、日本軍は処断を余儀なくされた。こうした捕虜の処断は国際法に準じて行われたが、大量に処断された。このことは悲惨だった。ただし、日本軍による中国人の処断の数について中国政府が主唱し、一部の識者が追随している万の単位を超えるようなものではなく、20万、30万人という虐殺などあったはずはない。

 中国の反日プロパガンダ(謀略宣伝戦)だ。(事態を招いた)責任は第一義的に敵前逃亡した国民政府にある。日本軍だけに責任を負わせるのは非道で、蒋介石の責任が間われるべきだ」

■「外交は無形の戦争である」と語った蒋介石は国際情報戦に力を入れた
 「国民政府は戦わず情報戦を仕掛けた。中央宣伝部が巧みに欧米のジャーナリストを取り込み『大虐殺』を握造した」

■著書では、慰安婦間題について「実体は、『性奴隷』では全くない。『売春婦」だ」と記した
 「中国と韓国は日本が反論しないため、捏造してプロパガンダを繰り返し、欧米のメディアが追随している。『南京』も『慰安婦』も、このままでは世界から糾弾され続ける。日本は全ての事実を明らかにし、英語で日本の立場を世界に発信してゆくべきだ。訴え続けなければ歴史的事実として確定してしまう」

■『虐殺』の存在を否定した欧米人ジャーナリストとなった
 「この10年で北村稔、東中野修道ら日本の学者によって研究が進み、中国側史料からもいわゆる『虐殺』はなかったということが明白になってきたからだ。日本を深く知れば知るほど、『南京虐殺』に対する認識が変わった」

■他の欧米ジャーナリストから批判されたか
 「出版以来、外国特派員の同僚や英国の友人から『クレージー』『子供じみている」など多くの批判を受けた。しかし、仲間から『リビジョニスト(歴史修正主義者)』『右翼』などと呼ばれようと自分の主張は変えない。この主張に自分の存在をかけている。たとえ1人で孤立しても、それを誇りに、信念をもって世界に伝えたい」

■「勝者の裁きを受け入れた「東京裁判史観」からの脱却を著書で訴えた
 「来日当時は戦勝国史観を疑うことなく信奉していたが、半世紀にわたり日本と日本人を知るうちに、そもそも東京裁判は戦勝国の復讐劇であると考えるようになった。戦勝国が全能の神であるかのように日本の罪を裁くことに違和感を覚えた。実際にインド人判事のラダ・ビノード・パールは『全員無罪』とした。オーストラリア人高裁判事のデール・スミスは30年研究して『司法殺人?』と題する本を出版している。

 ところが戦後の日本が東京裁判に基づいた歴史観を受け入れたかのような政治・外交姿勢を取り続けているのは、情けなく愚かなことだ。史実に反するプロパガンダである東京裁判史観から脱却しなければいけない」

■具体策は
 「外務省はじめ政府が真実を世界に発信しなければいけない。国を挙げて宣伝のためのシンクタンクを設立するのも一考だ」

ヘンリー・S・ストークス
 1938年英国生まれ、61年オックスフォード大学修士課程修了後、62年英紙フィナンシャル・タイムズ社に入社し、64年に初代東京支局長に就任。その後も英紙タイムズや米紙ニューヨーク・タイムズの東京支局長を歴任した。作家の三島由紀夫とも親交があった。

(産経新聞 2014-12-28)



『日本側には、日本の主張があってしかるべきだ。たとえば「日本はアジアを侵略していない。欧米の植民地となっていたアジアを独立させたのだ」という主張も、立派な史観だ。それは、日本からみた史観である。しかし、日本の立場を日本が主張しなければ、敵国だったイギリスやアメリカが、そのような主張をすることはない。「そもそもアジアを侵略したのは、イギリスであり、アメリカである」と言われれば、それはそうだ。

 イギリスをはじめ西洋諸国は、アジアや、オーストラリア、北米、南米、アフリカをはじめ、世界中を植民地にした。アメリカは「新大陸」に、自分たちの国を建国している。それに対して、原住民の「インディアン」が、どれほど血みどろの戦いで郷土を防衛しようとしたかは、西部劇によって衆知のことである。

 ハリウッド映画では、侵略者は「文明をもたらす正義の味方」であり、原住民は「未開の野蛮民族」ということになっている。東京裁判も、まったく同じ「アメリカの正義劇」だった。そうであれば、日本も「日本には大義があったしというシナリオで、その史観を世界に発信すべきだろう。』

『英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄』 ヘンリー・S・ストークス(祥伝社新書)


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