中国、「一人っ子政策」廃止



独自の産児制限、36年で終止符―高齢化に危機感
 中国共産党の重要会議、第18期中央委員会第5回総会(5中総会)は29日、4日間の討議を終え閉幕した。
 閉幕後公表された総会コミュニケによると、中国政府は全ての夫婦に2人までの子供を産むことを認め、夫婦に子供は原則1人までと定めた国策「一人っ子政策」の完全廃止を決定した。

 世界最大の人口を持つ中国で1979年から続いた独自の産児制限は、36年で終止符を打ち、人口政策の歴史的転換を図った。コミュニケは廃止時期を明記していないが、中国メディアは「早ければ年内」と伝えた。

 共産党は2013年の同中央委員会第3回総会(3中総会)で「夫婦のどちらか一方が一人っ子の場合、2人目を産むことができる」と定め、政策の緩和を決めた。決定の背景には、中国で進行する深刻な高齢化への危機感がある。労働力人口が12年に減少に転じる一方、50年には60歳以上が全人口の35%を占め、世界で最も高齢化が進んだ国になるという国際機関の予測も出ている。

 中国政府にも誤算があった。13年の政策緩和の結果、対象となる全国1100万組の夫婦から毎年200万人が生まれると見込んだが、実際に2人目の出産申請は今年5月までに13%前後にとどまっているとされる。習近平指導部は、このまま一人っ子政策を続ければ、高齢化に歯止めがかからず、景気減速の中で最優先課題である経済の安定成長に悪影響を及ぼすと判断。中国メディアによると、一人っ子政策の完全廃止で年間300万〜800万人が新たに出生すると予測される。

 コミュニケは「バランスの取れた人口発展を促進し、計画出産の基本国策を堅持するとともに、人口の発展戦略を改善し、夫婦が2人の子供を産む政策を全面的に実施し、高齢化に対応する行動を積極的に展開する」と記した。 

(時事通信 2015-10-29)



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