ラスヴェガスの銃乱射事件



銃乱射事件を機に、米国は規制強化に動くのか? 
 2017年10月1日に起きたラスヴェガスの銃乱射事件では、これまでに60人近くが亡くなり、500人近くが負傷した。米史上最悪となった銃乱射を機に、銃社会であるアメリカの現状や銃の規制問題、そしてソーシャルメディアが果たすべき責任などに関する7本の記事を紹介する。

 2017年10月1日(米国時間)に米ラスヴェガスで起きた銃乱射事件は、米国にとって史上最悪の銃乱射事件であると同時に、改めて米国が「銃社会」であることを浮き彫りにした。ここ10年を振り返っても、銃乱射で大勢の死者が出た事件がいくつもある。最近でも、16年6月にフロリダ州オーランドのナイトクラブが襲われ、49人が亡くなった事件は記憶に新しい。

 米国では、国民が銃をもつ権利が合衆国憲法の修正第2条で保障されている。ピュー研究所が2017年に発表した調査結果によると、米国民の約4割が銃を所有している、もしくは家に銃があると解答した。しかも回答者の48パーセントは銃のある家庭で育ったという。
 調査会社ギャラップの調査でも、ここ10年の銃の所有率は40パーセント前後で推移している。「米国民の4割」が銃をもっているという数字は、概ね正しいと言っていいだろう。ちなみに、ギャラップは銃規制を強化すべきかどうかについても調査しており、「強化すべき」との解答は6割未満で推移している。これは1990年代前半の7割以上と比べて、最大20ポイント以上も減っている。

再燃する議論は、今度こそ“本物”か
 そして大勢が亡くなる銃乱射事件が起きるたびに、銃の所有と規制強化の是非をめぐる議論が再燃する。だが今回は、やや様相が異なる。これまで銃規制に強硬に反対してきたロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」が、改造部品の規制を容認する声明を出したのだ。

 今回のラスヴェガスの事件では、1発ごとに引き金を引く必要がある半自動小銃を、マシンガンのようにフルオートに改造する部品が使われたとみられている。米国では自動小銃の所有が禁止されているが、こうした改造部品は野放しの状態が続いている。それだけに、強硬派で知られるNRAも世論を無視できなくなったのだろう。だが銃そのものに対する規制については、現時点では言及していない。

 今後、米国の銃規制はどう変わっていくのか。米国民の世論とトランプ政権は、どう動くのか−−。今回のラスヴェガスの事件を機に、米国の法規制の問題点、事件でも使われたとみられる半自動小銃の威力、そしてソーシャルメディアの果たすべき責任や渦巻くデマなどについて、7本の記事で振り返りたい。

■ラスヴェガスの銃乱射は、法の「抜け穴」が招いた悲劇だった−−犯人が違法な「自動小銃」を入手できた理由
 ラスヴェガスで2017年10月1日に起きた銃乱射事件では、法律で禁止されているはずの自動小銃か、ほぼ自動に改造された銃が使われた可能性が高い。それでも悲劇が起きてしまった背景には、銃の改造や自動化を補助するツールが米国で野放しとなっている現状があった。(2017年10月4日公開)

■医師たちが語った「AR-15」の恐るべき破壊力
 フロリダ州オーランドで起きた銃乱射事件でも使用された「AR-15」。数々の乱射事件で使われてきたこのライフル銃は、あまりに優れた殺傷能力を有している。その恐ろしい威力を医師たちが語った。(2016年6月20日公開)

■銃はテロの約1,000倍の人を殺している:米調査結果
 2016年10月にオレゴン州で発生した銃乱射事件を受け、『WIRED』US版は米国における「銃による暴力」と「テロ攻撃」「交通事故」などによる死者数を調査、比較した。(2015年10月5日公開)

■Instagramで売りに出される銃と、ソーシャルメディアのモラル
 「InstagramやFacebookで銃販売が気軽に行われている」−−。2016年6月に米フロリダ州で起きた銃乱射事件後の米上院議会での指摘を受けて、インスタグラムはハッシュタグ「#gunsforsale」のついた写真を消去した。だが、問題はそれで収まるほど単純ではない。そしていまも新たな投稿は続いている。(2016年6月17日公開)

■iOS 10の「水鉄砲の絵文字」に隠された、大いなるアップルのメッセージ
 2016年に発表されたiOS 10以降、それまで「金属製の銃」だった絵文字が「おもちゃの水鉄砲」に変更された。このちょっとした変更は、ユーザー同士のコミュニケーションに混乱も起こしうるが、米国で拡がる銃規制への動きに対する明らかなメッセージとして受け止められていた。(2016年9月15日公開)

■ラスヴェガス銃乱射で、またもや渦巻く「誤報とデマ」−−ネットの情報にわれわれはどう向き合うべきか
 ラスヴェガスで2017年10月1日(米国時間)に発生し、少なくとも58人が亡くなった銃乱射事件。この惨劇のあと、いつものようにネット上にはデマや誤報が渦巻いた。繰り返される問題に関してソーシャルメディアに責任はないのか。また、われわれはどう対処すべきなのか。(2017年10月4日公開)

■「さらに銃を増やし、ゲームを規制せよ」:銃乱射事件でNRAが主張
 全米ライフル協会(NRA)は2012年、銃乱射事件は暴力的なゲームの影響だとして、精神障害患者の全国データベース化などを主張していた。一方、暴力的ゲームのユーザー層が多いオランダや韓国で乱射事件が多いという事実はないと指摘する心理学者もいる。(2012年12月25日公開)
(産経ニュースWEB 2017-10-9)



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