テレビ霊能者 (メディアに登場した霊能者)



■死後の世界ブーム(1985年ごろ〜1995年ごろ)
 心霊主義関係の海外の邦訳などの影響で、日本では1980年代半ばから「死後の世界ブーム」がおこり、1986年ごろから人の守護霊の声を聞くという宜保愛子らが霊能者としてテレビに出演するようになった。


 また、俳優としても知られる心霊研究家丹波哲郎による心霊主義の著作「大霊界シリーズ」が1987年からに出版され通算で250万部に達し、死後の世界を幻想的に映像化した映画「丹波哲郎の大霊界 死んだらどうなる」(1989年)は続編「丹波哲郎の大霊界2 死んだらおどろいた!!」(1990年)とあわせて300万人の観客動員数をよんだ。
  

 1991年にはNHKが臨死体験を取材しNHKスペシャルで放送され、臨死体験が一般社会にも浸透するきっかけとなった。この放送は、宗教やオカルトの問題と考えられていた「臨死体験」にNHKが真正面から取り組んだことで、大きな反響を呼んだ。またチベット仏教ニンマ派の死者の枕頭で誦される仏典で、転生へと誘う光に満ちた死後の世界が描かれた、通称チベット死者の書も1990年代に注目を集めた。

 心霊主義・近代神智学は、幸福の科学(1986〜 )、オウム真理教(1989〜2000)といった日本の新興宗教にも影響を与えた。
 1995年の地下鉄サリン事件などオウム真理教による一連の事件の影響で、「死後の世界」ブームも急速に終焉に向かい、心霊主義やスピリチュアリティの分野がメディアで取り上げられることも大幅に減った。
  

■スピリチュアル・ブーム(2000年代初頭)
 2004年には占い師の細木数子が出演するテレビ番組「ズバリ言うわよ!」(TBS系)がヒットした。しかし、従来型の先祖祭祀や古典的な夫婦関係の復活、地域の寺社への参拝などを強弁した細木に対して多くの女性視聴者は拒絶反応を示した。
   

 その後、スピリチュアル・カウンセラーを称する江原啓之(えはら ひろゆき1964〜 )をきっかけに再びブームとなった。江原は、浅野和三郎に始まる日本的心霊学を継承する団体のひとつである日本心霊科学協会の流れを汲むが、イギリスでも心霊主義を学び、心霊主義に現代のセラピー文化を取り入れて現代風にアレンジして、1989年に「スピリチュアル・カウンセリング」を掲げてスピリチュアリズム研究所を始めた。

 江原の著作『幸運をひきよせるスピリチュアルブック』(2001年)がベストセラーになり、テレビ番組「オーラの泉」(2005〜2009)などメディアに盛んに露出するようになったことで、心霊主義は「スピリチュアル」として一般に広く普及した。「オーラの泉」は、江原がゲストのオーラや前世や守護霊、オーラなどを「霊視」してアドバイスをする番組で、スピリチュアル・ブームを生んだ。
  

 「オーラの泉」などのスピリチュアル番組は、日本民間放送連盟が規定する次の放送基準の観点から問題視された。
 
 第8章 表現上の配慮 占い、運勢判断およびこれに類するものは、断定したり、無理に信じさせたりするような取り扱いはしない。現代人の良識から見て非科学的な迷信や、これに類する人相、手相、骨相、印相、家相、墓相、風水、運命・運勢鑑定、霊感、霊能等を取り上げる場合は、これを肯定的に取り扱わない。
 
 全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)は2007年に、民放連やBPO(放送倫理・番組向上機構)などに、「霊界や死後の世界について安易かつ断定的にコメントし、占いなどを絶対視する」番組を是正するよう要望書を提出した。



TOP   


inserted by FC2 system