ゾロアスター教ゾロアスター
1.概略
ゾロアスター教は、予言者ゾロアスター(イラン語でザラスシュトラ 前7世紀後半)が神の啓示を受けてペルシャ(イラン)で創立した宗教です。祭壇の聖火に由来して「拝火教」とも呼ばれます。信徒数は約12万人(1994年)。
2.教祖・重要人物
「ゾロアスター」(前7世紀後半)
ゾロアスターは西北イラン(現・アゼルバイジャン)で生まれました。20才の頃から彷徨の旅に出て、30才で最高神アフラ・マズダの天啓をうけて予言者となりました。
42才の頃、東方のバクトリアで足場を固め、イラン全土への普及が実現しました。さらにアルメニア、バビロニアなどにも布教しましたが、77才の時、遊牧民の攻撃を受けて死去したと伝えられます。
3.教典
「アヴェスター」
4世紀から6世紀にかけて編纂されたといわれます。4分の1が現存しています。「祭儀」「除魔法・戒律」「祈祷賛歌」などからなります。
4.教義・戒律
「善悪二元論」
ゾロアスター教は、光と闇、善と悪という「二元論」の世界を展開する非常に斬新な思想でした。光と善の神「アフラ・マズダ」と暗黒と悪の神「アングラ・マインユ」の壮大な闘いが続き、悪は最後の審判によって滅び、善に従うものは天国にいくことができます。ゾロアスター教徒はこの日のために清浄な生活をしなければならないのです。
ゾロアスター教の「死者の復活」や「最後の審判」の思想は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の終末論に、また光明神としてのアフラ・マズダの観念は、仏教の大日如来や阿弥陀仏の崇拝に影響を与えたと言われます。ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」は、ゾロアスターを題材にしています。
5.宗教行事・祭礼
「ナヴヨテの儀式」
7才から12才までに行われる入信式。儀式では、白い糸(クスティー)と肌着(スドラ)を身につけ、教義と道徳を守ることを誓います。
6.宗教生活・礼拝方法
ゾロアスター教徒は、アフラ・マズダの象徴として火を崇拝し、神殿では絶えざる聖火が燃やされています。ここから「拝火教」という俗称が生まれました。
死は悪神によってもたらされると考えられ、地上を不浄なもので汚さないために、葬儀用の塔の上で「風葬・鳥葬」が行われているが、現在では埋葬も行われています。
宗教的な習慣として近親結婚が勧められているといいます。
7.象徴(像・シンボル)
8.歴史
イランのササン朝時代(226〜651)では国教として栄えましたが、7世紀以降は信徒の多くがイスラム教に改宗、現在はイランやインド(パールシーと呼ばれる)などを中心に分布しています。
9.宗派
10.その他
「ミトラ教」
ゾロアスター教の母胎ともなった世界最古といわれる世界宗教。キリスト教のクリスマスもミトラ教の影響で生まれました。
「パールシー」
インドのゾロアスター教徒はパールシーと呼ばれます。インドの二大財閥のひとつの「タタ」は、パールシーの財閥です。
「沈黙の塔(ダフマ))
死者は最終的に沈黙の塔の石版の上に置かれ、風葬がおこなわれる。