道 教

老子


1.概略
 道教とは、紀元前の道家思想(老子などの教え)に、中国古来の民間信仰や陰陽道などが混じり合ってできた中国の民族宗教です。体系的に整備されはじめたのは5世紀以降で、11世紀はじめになってようやく組織や教理が完成しました。

2.教祖・重要人物
「老子」(前4世紀)
 老子は楚の国(現在の河南省鹿邑県)に生まれ、姓は李(り)、名は耳(じ)、字を丹(たん)といいました。
 周王朝の王室図書館の司書を勤めますが、やがて周王朝の衰えを目の当たりにし、隠棲を決意します。ひとり牛の背にまたがり西方に出立しますが、国境の関所まできたとき、番人の「いん喜」に呼び止められ「あなたはこれから隠者になられるのでしょう。どうか道についてご教示ください」と懇願されます。
 老子は、道と徳の意義を上下二篇の書にあらわし、再び西方に出立しました。

3.教典
 「道蔵」=11世紀に編集され、7部で構成されている。主要な教派の教えを収録したもの。
 「老子道徳経」(老子)=老子の教え
 「抱朴子」(ほうぼくし)=葛洪(かつこう)著、神仙術の集大成。

4.教義・戒律
 道教には、民衆のあいだで信仰される「民衆道教」と教典や組織をもつ「教団道教」があります。
 民衆道教は中国古来の呪術的信仰で、仙人崇拝・各種魔除け・まじない・祈祷などがあり、日本の年中行事にも道教に由来するものがたくさんあります。教団道教からは、易、陰陽、五行、天文、占星などが日本の陰陽道や修験道に取り入れられています。
 教団道教の開祖は一般に老子といわれていますが、架空の人物ともいわれます。その後、荘子が道家思想を発展させ「老荘思想」と呼ばれています。

 教団道教の基本の教えは「道(タオ)」です。「万物の根源」や「無」という、人知の及ばない自然や運命の法則という意味です。そこで「無為自然」(無理をせず、なすがままに生きる)の生活が勧められました。

5.宗教行事・祭礼

6.宗教生活・礼拝方法
 不老長寿を得るためにさまざまな健康法が考えられました。特殊な食事法(辟穀)、呼吸法(胎息)、体操(導引)、性交術(房中)、薬術(服餌)が発展した。太極拳も、もともとは道教の養成法であったといいます。

7.象徴(像・シンボル)
「道教の主な神々」
 「元始天尊」神界の王で創造神、後に玉皇大帝とも呼ばれる
 「太上道君」万物の根源である「道」を神格化した神
 「太上老君」老子を神格化した神
   (以上は三清尊とも呼ばれる)

 「玄天上帝」北極星の神、  「北斗神君」北斗星の神、
 「関帝」歴史上の武将関羽を神格化、  「呂祖」伝説的な仙人
 「媽祖(まそ)」海上の守護女神、  「娘娘(にゃんにゃん)」出産や子育ての守護女神
  ※地方によっては、孔子、聖母マリアなどがまつられている場合もあります。

「太陰太極図」
 道教のシンボルマーク。陰と陽で世界の成り立ちを表しています。   

8.歴史
 2世紀頃から仏教の進出に刺激され、中国の民間信仰や呪術が組織化されはじめました。2世紀中頃、最初の道教教団とされる太平道(たいへいどう)が生まれ、病気なおしを盛んに行いました。後漢の末期に四川地方を中心に五斗米道(ごとべいどう)が成立し、病気なおしを盛んに行いました。

 5世紀前半には、新天師道がつくられました。7世紀には唐の保護を受けて、国家を守る宗教として発展しました。12世紀頃の金の時代には、全真教、太一教、真大道教などが生まれました。
 日本では、道教はまとまった宗教の形では根を下ろさなかったが、沖縄では14世紀に道教が伝来し、中国と同じような形で道教が普及し、各地に廟がつくられました。
 
9.宗派

10.その他
「漢方薬」
 「不老長寿の仙人が存在し、仙人になるための薬やまじないがある」と信じられていたので、秦の始皇帝、漢の武帝をはじめ権力者や金持ちは、地の果てまでも薬を探し求め、製法を研究させました。これが「漢方薬」のはじまりともいわれます。


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