キリスト教


7.象徴(像・シンボル)
「十字架」

 十字架はイエス・キリストが磔刑に処されたときの刑具と伝えられ、主要なキリスト教教派が、最も重要な宗教的象徴とするもの。イエスの十字架を象り、立体のものを作ったり画布や板に描いたものを崇敬の対象とする。日本語では立体のものを十字架と呼び、二次元のものは十字と呼ぶことが多い。古くは、ポルトガル語の「Cruz(クロウズ)」を模して「久留子(くるす)」とも言った。十字はまた祈祷の一部として手で自分の胸に画いたり、相手の頭上に画いたりする。

 旧約において磔刑に処されたものは「呪われる」とあり、またローマでは十字架への磔刑は「国家反逆罪」への罰であった。このような「呪い」と「貶め」をキリストが甘受したことのうちに、キリスト教ではイエスの謙りとそれによってのみ贖われえた人類の罪の深さ、さらにそれを解消したイエスの神性の力強さを見ている。

「聖母マリア」
 カトリック教会では、正教会と同様、聖母マリアに神への執り成しを求める祈りが捧げられる(ロザリオやリタニ等)。カトリック教会の教理で認める煉獄における執り成し役として高く敬愛されており、その誕生から死(聖母被昇天=ラテン語: assumptio)まで生涯の各場面が記憶され、「聖マリアの誕生」(9月8日)や「聖母被昇天」(8月15日)などを記念日・祝日としている。大半のプロテスタントでは、マリアは崇敬の対象にはなっていない。

「聖人」
 聖人への崇敬は正教会、東方諸教会、カトリック教会、聖公会、ルーテル教会などで行われている。ただし、対象は歴史的に若干の変動があり、また教派によって扱いが異なり、プロテスタントでは聖人に対する崇敬を行わない派が多い。改革派教会以降とアナバプテスト系は聖人崇敬を否定し、クリスチャンすべてを聖徒と呼ぶ。

「イコン」
 イコンとは、イエス・キリスト、聖人、天使、聖書における重要出来事やたとえ話、教会史上の出来事を画いた画像(多くは平面)である。古典ギリシャ語再建音ではエイコーン。正教会では聖像とも呼ぶ。正教会でのイコンの多くは平面であり、正教会においては立像は用いられない訳ではないが、極めて稀である。その形状は板絵のみならず、フレスコ画、写本挿絵、モザイク画など多様である。


十字架
カトリック

十字架
プロテスタント

聖母マリア
カトリック

聖人
カトリック

イコン聖画像)
東方正教会


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