エホバの証人(ものみの塔)
開 祖
 チャールズ・テイズ・ラッセル
設 立
 1884年
崇拝対象
 エホバ、キリスト
経 典
 聖書
本拠地
 米国ニューヨーク市ブルックリン
信者数
 約722万人


開祖=ラッセル

本部

シンボル


1.概略
 エホバの証人(エホバのしょうにん、英語:Jehovah's Witnesses)とは、1884年にチャールズ・テイズ・ラッセルにより創始された国際的な宗教団体の成員の名称で、聖書を教典とし世界政府の確立及び全世界が神権政治により統治された社会の実現を支持する組織である。
 かつては聖書研究者(国際聖書研究者)と呼ばれていた。神エホバとその御子キリストが天と地を支配する「神の王国」(全宇宙的な神の政府)の確立を支持している。

 成員は全世界(2009年現在236の国や地域)で活動しており、宣教活動を非常に活発に行うことで知られる。自らを1世紀のクリスチャンの復興(真のクリスチャン)としているが、三位一体説の否認などにより基本信条を告白する主流派キリスト教団体からは異端として扱われている。
 尚、「エホバの証人」という名称は、あくまでも組織を構成する個々または全体の成員そのものを指す名称であり組織名ではない。法人として国、州、郡、都道府県市町村に登録された関連団体は別に名称(ものみの塔聖書冊子協会・エイドアフリーク・国際聖書研究者協会・エホバの証人○○会衆等)を持っており、それらすべてを統括した組織名は現在のところ存在しない。

2.開祖
【チャールズ・テイズ・ラッセル】(Charles Taze Russell、1852年2月16日〜1916年10月31日)
 ラッセルは1870年に「聖書研究会」を開き、それら成員は「聖書研究者」または「国際聖書研究者」(現在の「エホバの証人」)と呼ばれるようになり、1879年には『シオンのものみの塔およびキリストの臨在の告知者』(現在の『ものみの塔』誌)を創刊し、1884年に宗教法人である「シオンのものみの塔冊子協会」(現在の「ものみの塔聖書冊子協会」)を設立し、その初代会長を務めた。パスター・ラッセル(「牧師」の意味)との愛称で呼ばれていた。

■出生と少年時代
 チャールズ・テイズ・ラッセルは、アメリカ合衆国のペンシルベニア州アレゲーニー(現在のピッツバーグの一部)において、父親ジョセフ・L・ラッセル(1897年12月27日死去)と母親アン・エリザ・バーニー・ラッセル(1861年1月25日死去)の次男として生まれた。両親は共にスコットランド―アイルランド系の長老派教会のキリスト教徒であった。後に父親は聖書研究会のメンバーとなった。

 母親は彼が9歳の時に死亡した。後に彼は近所の組合教会に入った。実家は男性用の服飾店で、ラッセル自身も11歳の時、父親と共同で男性用服飾店を経営し、15歳の時には各地に店を持つようになった。やがて一人で経営を切り盛りし事業は成功していたようである。
 
■伝統的教理に対する疑問
 彼は夜遅くまで聖書の熱心に研究する子供であったと伝えられている。しかし、少年であった彼は聖書を研究するにつれ、「地獄における永遠の責め苦」また「運命予定説」の伝統的な教理に対して疑問を抱くようになる。彼は様々な教派の信条を調査したり、東洋の主要な宗教も研究したが、納得の行く答えは見い出せなかった。17歳の頃までには、事業に専念することを考えるようになっていたという。

■「聖書研究会」の発足
 1869年頃、当時流行しつつあった再臨派(アドベンティスト派)の集会に出席し、その教会の牧師ジョナス・ウェンデルから説教を聴いた。それによって聖書が霊感によって書かれた著作であることを改めて確信した。1870年、再び聖書研究に意欲を燃やした彼は、6名ほどの友人たちと共に「聖書研究会」を作り毎週集会を開いた。それから5年間、彼らは霊魂不滅の教理の間違い、キリストの贖いの犠牲、キリストの再臨は目に見えない形で起こる事、またキリストは地球を滅ぼすために来るわけではなく祝福するために来ると理解した。
 
■『朝の先触れ』誌の共同編集
 1876年1月、23歳のラッセルは『朝の先触れ (Herald of the Morning)』というアドベンティスト派の宗教雑誌を入手したが、その編集者ニューヨーク州ロチェスターのネルソン・H・バーバーは、キリストはすでに目に見えない形で再臨しておられ、「小麦(真のクリスチャン)」(マタイ 13:24-30)を収穫する業は始まっていると論じていた。関心を持ったラッセルは、フィラデルフィアでバーバーと会見を開き、聖書研究会はバーバー主催のグループと合同した。
 1879年3月13日、ラッセルはマリア・フランシス・アクリー(1850_1938)と結婚した。

■『シオンのものみの塔およびキリストの臨在の告知者』誌の創刊
 ラッセルは、伝道旅行よりも雑誌の発行に集中することにし、バーバーの手を借りずに自分自身で雑誌を発行する事に着手し、1879年7月、『シオンのものみの塔およびキリストの臨在の告知者 (Zion's Watch Tower and Herald of Christ's Presence)』(現在のものみの塔」 「エホバの王国を告げ知らせる誌)を創刊した。創刊号は6000部で(1914年には約5万冊印刷された)、寄稿者は5名であった。
 
■「エクレシア」の設立
 1879年と1880年には各地で集会を開くため、ペンシルベニア州、ニュージャージー州、マサチューセッツ州、ニューヨーク州、デラウェア州、オハイオ州、ミシガン州に約30の会衆を設立し、ラッセル自身が各会衆を訪問することを取り決めた。聖書研究会のこの初期の会衆は「エクレシア(「教会」や「会衆」と訳されるギリシャ語)」、または「クラス」と呼ばれた。
 
■宗教法人「シオンのものみの塔冊子協会」の設立
 1884年12月15日、「シオンのものみの塔冊子協会 (Zion’s Watch Tower Tract Society)」(現在の「ペンシルベニア州のものみの塔聖書冊子協会」)は宗教法人となり、ピッツバーグから移転してアレゲーニーのフィデラル通り44番に(同年フェデラル通り40番に移転)本部が設立され、ラッセルはその初代会長を務めた。
 
■「塔出版会社」と「バイブル・ハウス」
 1887年からはラッセルが所有した「塔出版会社 (Tower Publishing Company)」で印刷を開始し、1898年まで用いられた。協会本部の拡張が必要となり、1889年にアレゲーニーのアーチ通り56-60番に4階建てのレンガ造りの建物が建設された。そこは「バイブル・ハウス (Bible House)」と呼ばれ、1909年まで本部として用いられた。

 1891年、ラッセルとその一行は海外旅行へと赴き、ヨーロッパ、アジア、アフリカを回って宣教活動を行った。こうして、協会の文書は、ドイツ語、フランス語、スウェーデン語、ノルウェー標準語、ポーランド語、ギリシャ語、イタリア語で出版されるようになった。
 
■「新聞福音伝道」及び協会本部の移転
 1904年、ラッセルは自分の訓話を新聞に掲載するために、新聞のための国際的な4名から成るシンジケートが組織された。1908年、新聞による説教をより大きな都市から送るため、ジョセフ・フランクリン・ラザフォードを含む協会の代表者は、ニューヨーク州ブルックリンのヒックス通り13-17番にある建物を購入し「ブルックリン・タバナクル (Brooklyn Tabernacle)」(「幕屋」の意味)と呼んだ[60]。また、ヘンリー・ウォード・ビーチャー牧師の邸宅であったコロンビア・ハイツ124番の建物も購入し、そこは協会の本部職員の宿舎として用いられ、「ベテル (Bethel)」(「神の家」の意味)と呼んだ。
 
■反対を表明した人々
 1894年4月5日、組織内の一部の人々は集会を開いてラッセルを告発した。1903年3月10日、ノース・アベニュー・メソジスト監督教会のE・L・イートン牧師とラッセルは6日間の聖書討論会を開いた。1908年2月23日から28日にかけて、オハイオ州シンシナチでディサイプル派のL・S・ワイトとの聖書討論会も開かれた。また、ラッセルの妻(旧姓、マリア・フランシス・アクリー)は協会の理事であり『ものみの塔』誌の編集者であったが、ラッセルによる虐待に耐えきれずに協会と関係を断ち、1908年3月4日には、合法的な別居の判決が下された。ラッセル夫人は僧職者の協力を得て告発文書を出版した。

■『創造の写真劇』の上映及び1914年
 1912年、ラッセルは全4部からなる合計8時間に及ぶ音声付きのスライド写真型のカラー映画である『創造の写真劇 (Photo-Drama of Creation)』を約30万ドルを費やして制作し、1914年1月から上映された。北アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアで上映され、観客は1914年末までに合計900万人に及んだ。また、『創造の写真劇』の縮小版である『ユーリカ劇 (Eureka Drama)』は農村部などで上映された。
 
■臨終
 1916年10月31日の火曜日の正午過ぎ、64歳の時、健康状態の悪化したラッセルは、テキサス州サンアントニオで最後の講演をした後にブルックリンへと戻る汽車の車内で、テキサス州パンパにて亡くなった。11月5日にニューヨーク州テンプルで、11月6日にはペンシルベニア州ピッツバーグのカーネギー・ホールで葬儀が行われ、ラッセル夫人は彼が好きであったすずらんの花束と共に「愛する夫へ」と記されたリボンを棺桶に置いたと言われている。その後、アレゲーニーのローズモント・ユナイテッド・セミトリーにある、協会の成員の墓地に墓碑が建てられた。
 
■思想・信条
 ラッセルはキリスト教の伝統的な「地獄の教理」、「運命予定説」、「霊魂不滅」、「三位一体論」を否定した。聖書のみを絶対的な神の言葉として受け入れ、聖書の真理は漸進的に明確になると信じ、出版物は聖書を理解する助けに過ぎないと考えた。エホバという固有の名を持ち、公正を知恵や愛や力と完全な調和を保つ、創造者である父なる神を崇拝した。キリストの贖いの価値を支持し、キリストの再臨は目に見えない形で起こり、パルーシア(臨在)は一定期間続き、地球を滅ぼすためではなく人類を祝福するために来ると信じた。

 ギザの大ピラミッドは神の証しの石であり、そこから聖書の年代測定や未来の予知ができると考えた。異邦人の時は1914年に終わると説明し、その年の前には収穫の業は完了し、選ばれた文字通りの14万4千人は天へと召されると考えた。「預言の中のシオニズム」という講演の中で、1914年以後、神は実際のユダヤ人を少しずつパレスチナに復帰させ、神の代理者として彼らを再び用いると考えた。ハルマゲドンは政治的党派間での戦争や社会革命によって起こり、現存する諸体制を滅ぼした後、残りの全人類は天国ではなく地上のパラダイスで完全な命を享受すると考えた。

 たばこの使用に関して否定的見解を持ち(1973年にエホバの証人はたばこの使用を完全に退けた)、ラッセル自身は個人的良心によりアルコール飲料を一切摂取しなかった。

3.歴史
■日本における活動
 日本に於いては1900年代初頭から「萬國聖書研究團(ばんこくせいしょけんきゅうだん)」という呼び名で活動し、日本支部は「灯台社(とうだいしゃ)」(正式には「燈臺社」)と言う名称で1927年に明石順三によって設立されるも、戦後除名処分を受け、以来エホバの証人と灯台社には直接的な関係はない。
 
■現代のエホバの証人
 現代のエホバの証人の起源は聖書研究者という名の宗教運動にある。聖書研究者は、1870年初頭にチャールズ・テイズ・ラッセルにより聖書研究会のクラスとして創始された。1917年にラッセルの後継者、ジョセフ・フランクリン・ラザフォードがものみの塔聖書冊子協会の会長になると、それを不服とした人々が離れていった。

 聖書研究者たちは1931年、ラザフォードの講演で「エホバの証人」という名を採択した。彼を支持しない人々がラッセルの教えを引き継いだ別の聖書研究者のグループを結成した。それ以後、エホバの証人は自分たちのことを「聖書研究者」とは呼ばなくなった。

4.経典
 聖書は主に「新世界訳聖書翻訳委員会」によって翻訳された新世界訳聖書、また必要に応じて欽定訳聖書・新共同訳聖書等市販の聖書を使用する。

5.教義・崇拝対象
■神の王国
 「神の王国」とは、エホバの証人が全面的に支持し到来を期待している新しい社会、またそれを実現する政府であり、心の中にある架空の世界などではない。イエス・キリストを王として天に設立され、遠くない将来、地上においても統治を開始する機関である。

 出版物の中ではしばしば、「人間に苦難をもたらす状態をすべてこの地から除去し、永続的な平和と安全をもたらし得る唯一の政府」、「『平和の君』であるみ子イエス・キリストが治める」、「地上の多種多様な人間の物事を管理する義の世界政府」などと定義されている。1960年代までは「御国(みくに)」と表記されていた。

 バプテスマを受けた成員はその王国の「臣民」(「国民」、「民」とも称される)として位置付けされており、すべての成員には、その政府を全面的に支持し、王国の到来に伴う希望(「王国の良いたより」)を布告する義務が課せられている。その布告は主な方法として戸別訪問などを用いて行われる。
 また王国政府への支持を表明する故に地上に現存する如何なる政治に対しても厳正中立的な立場を保ち、国旗敬礼や国歌斉唱はもちろんのこと、参加(立候補・投票など)も一切しない。

 また、その「臣民」には「神の王国」の法律、「原則」と呼ばれるものに従う義務を持つ。その「原則」と呼ばれるもののなかには、殺人及び窃盗の禁止など多くの国の法律に共通する規則や結婚外での性関係の禁止などの規則が含まれている。
 長年にわたり「神の王国」についての布告を主な活動としており、関係する物件の名称に「王国」という単語が含まれていることが多い。(「王国会館(Kingdom Hall)」(エホバの証人が集会場所として利用する施設)、「王国の調べ」(賛美歌のオーケストラ編曲)、「エホバの王国を告げ知らせる ものみの塔」(機関紙の名称)など1970年代初頭から英文「新世界訳」の影響もある。)

 地上における支配は、キリスト教世界の壊滅、国際連合その他地上に現存するすべての政治組織の一掃をもって開始される。それを「ハルマゲドン (全能者なる神の大いなる日の戦争)」と言い、如何なる勢力を持ってしても止めることはできないとされている。

■三位一体の否定
 聖書正典にその根拠が見出せないとして、三位一体を否定する。三位一体説は後世に加えられた教義である。 「子」は、イエス・キリストであり、全能者なる神ではない。イザヤ書の「力ある神」(Mighty God)、箴言の擬人化された「知恵」であり、人となる前はミカエルであり、黙示録の白い馬の乗り手でもある。

■偶像礼拝の禁止
  国旗敬礼(旗に対する専心)や国歌斉唱(国家の賛美)などは、偶像礼拝である。淫行・性的欲情などの不道徳・強欲なども、神ではなく各種欲求に対する崇拝者となっているという意味で偶像礼拝に当たる。

■誕生日会の禁止
 誕生日を祝わない。また、キリストの誕生日も祝わない。聖書に記述されている誕生日は2例存在するが、そのどちらも異教徒による祝いであるうえ悪い例となっている。
 キリストの死の記念を祝う。 春分の日以降、最初にイスラエルで満月の見える日を目安とする。
 
【社会的側面】
■血液に関する見解
 旧約聖書時代からキリストの昇天後についても、一貫して血は神聖なものであり食べることは禁じられているという旧約聖書の教えに基づき、血液を食すること拒む。ただし、血抜きの工程を経ている肉はよいとされているが、当然、完全に血が抜かれているわけではないので、あくまでも程度の問題である。これはユダヤ教でも同じである。

 ただし、エホバの証人においては血を食べることを血を内臓で「消化」することではなく、体に取り込むことと解釈しているので、血管からの輸血も拒否しなければならない。特に輸血拒否に関しては、手術や怪我等で出血がひどいなど輸血が不可欠な場合はその治療を受け入れないため、医師やエホバの証人の医師等で構成される医療連絡委員会が輸血の代替医療を行う病院へ転院措置を行う。しかし、結果として死に至る場合もある。

 また、大人が死の危険を納得して、輸血を拒否するならば、納得できるとして、そのような判断ができない子供を親の信仰によって死の危険にさらす行為には許されないという世論の声は高い。
 
■政治的な中立を保つ。
 神の王国への支持を表明するため、政治への参加(投票など)をしない。兵役拒否の他、格闘技の習得も忌避する。(ただしチェスなどのように戦いに関するゲームに関してでなければ行っても良いとしている。)
 
■国旗敬礼、国歌斉唱
 エホバの証人が国旗敬礼、国歌斉唱を忌避するのは、「人間の国家への忠誠は神への忠誠に準じるもの(相対的なもの)であり、絶対的なものではない」また「神の王国政府の確立を支持するゆえに現存する国家・政治には参与しない」、「国旗・国歌は国家の表象物(偶像)であり、これへの敬礼は偶像礼拝である」とするためである。米国ウェストバージニア州での事例「バーネット事件」(この戒律に基づき星条旗への表敬を拒んだ姉妹の姓にちなむ行政訴訟)が有名である。

■兵役拒否
 聖書中の「戦いを学ばない」「剣を取るものは剣によって滅びる」の適用であり、兵役が義務化されている国々で問題視されることがある。かつては国家はそれに対してエホバの証人を投獄するのが一般的であった。近年では、良心的兵役拒否が人権の一つとして認識されるようになってきたことから、社会奉仕活動への参加を義務付けることによって、兵役の義務の代わりとする事例も増えている。
 日本では他に、同じ聖句を理由として武道の科目を履行しなかったことが争われたケースなどがある。

6.活動・機関誌
 エホバの証人の全世界での平均伝道者数は2010年時点で約722万4千人である。これは世界人口の約0.1%である。 日本においては約21万7000人の伝道者が活動しているとされており、キリスト教として扱った場合カトリックに次ぐ規模となる。更に、伝道者に至らない聖書研究生を含めると平均で30万〜40万人であると予想される。聖書研究を始めてから伝道者として認められ、更にバプテスマを受けた成員として認められるまで、一般的に早くとも3〜5年程度かかる。中には30年以上研究生のままで、なかなか伝道者として認められない研究生や、途中で脱落する研究生も少なくない。

7.行事・慣行
 毎日、聖書を読んで研究をすることが勧められている。聖書通読の他、毎回の集会の予習を行うことが勧められている。近年は家族が信者であれば、一緒に研究を行うことが強く勧められている。週に2回、集会を行う。
 戸別訪問による宣教は、通常「二人ずつ」ペアで「家から家」の戸別訪問での宣教を行う
 年に1回、地域大会、巡回大会、特別一日大会が催される。(地域大会においては、毎年新しい出版物やDVD作品などが発表されている。)また1年に1度、ユダヤ暦のニサン14日にキリストの死の記念式を祝う。

8.施設・関連団体
 2010年8月現在、全世界で約2万8500箇所の礼拝施設を構え、日本国内には約340箇所ある。また、神の儀式を執行するとされる神殿は世界に130あり、日本には東京と福岡にある(札幌にて建設予定)。2001年のニューヨーク市立大学の調査では10位に留まると推定しているが、合衆国の宗派としては4位の規模としている。

9.著名人
 臼井儀人(漫画家、『クレヨンしんちゃん』作者、故人)
 ラリー・グラハム(ミュージシャン)
 キャサリン・ジャクソン(マイケル・ジャクソンの母)
 矢野顕子
 国持一洋(元競輪選手)

10.その他
■神の名
 「エホバ」とは、旧約聖書に描かれる主要な神の名に対応する、日本語表記の1種である。古くには文語訳聖書19Aの母音符号の打ち方では、 B で「ヱホバ」とも表記された。レニングラード写本四文字語____ (アルファベットではYHWH)はエフワー、エフウィ、およびエホーワーと読め、ギンスブルクの編さんしたマソラ本文の母音符号の打ち方では、エホーワーと読めることから、これが派生して「エホバ」という発音が出来たとも考えられる。
 
■大衆作品中のエホバの証人
[映画]
 クリント・イーストウッド監督による『パーフェクト・ワールド』1993年
[ドラマ]
 ビートたけし主演、大谷直子・斉藤洋介他出演の『説得〜エホバの証人と輸血拒否事件』1993年、TBS
[小説]
 津山千恵による『羊飼のいない羊たち』1984年 - 第二次大戦中の灯台社と良心的兵役拒否を貫いた明石順三の生涯。 
 大泉実成による『説得―エホバの証人と輸血拒否事件』 - 1985年6月に神奈川県で実際にあった小学生の輸血拒否事件を基に、ある信者家族の信仰と生命の尊さを巡る葛藤を一人のルポライターが刻銘に綴ったノンフィクション小説。1993年にTBSでドラマ化され話題になった。

 滝本竜彦による『NHKにようこそ!』2001年 - 中原岬の叔母の宗教。実際にはエホバの証人の信条とは異なる部分が多く、架空の宗教であると考えられるものの、勧誘の様子(二人一組で戸別訪問し「目をさませよ!」という雑誌を配布する)など、エホバの証人を基にしたものとなっている。
 村上春樹による『1Q84』2009年 - 「証人会」という宗教団体の二世信者の姿が描かれている。
 
■過去に受けた法的規制
 エホバの証人は、第一次世界大戦前後から、第二次世界大戦、1950年代くらいまで、兵役や国家に対する忠誠の拒否などで処罰されたものがおり、協会はこれを宗教弾圧としているが、これらの国ではあくまでも法令違反とされている。ただし、ナチスドイツの従軍を拒否したために強制収容所に入れられたことに対する同情は存在するが、それと戦っていた連合軍に対する兵役の拒否に同じような理由で従軍を拒否したことに対する同情は少ない。また、これらの法令違反によって民衆に暴行を受けた信者も存在する。

■政府または議会にカルトまたはセクトと分類された例
 エホバの証人は、いくつかの政府によって、カルトまたはセクトと分類されている。例として以下の政府・議会報告が挙げられる。
 ベルギー議会調査委員会(1997)
 フランス国民議会委員会報告(1995)(フランス国家警察の情報機関総合情報局が、複数のカルト監視グループと編集)
 フランス国民議会委員会報告(1999)(カルトと金銭に関するフランス議会報告、30数団体にし注意を集中させ調査した)
 
■国際連合・国際連盟に対する見解
 国際連盟機構また後の国際連合は、啓示13章14,15節の中で預言されている「野獣の像」「緋色の野獣」、また啓示7章11節の「八人目の王」の正体であると解釈されている。国際連合が平和実現へ向けて努力を行っていることは認めるも、神の王国の主権の無視、平和実現を確約するも成し遂げられない無力さ、国連軍による数々の流血行為など、神に対する冒涜故に裁きが下されると主張している。しかし国際連合は、裁きを受ける前に、他の宗教体制すべて啓示14章8節の中で示されている「大いなるバビロン」)を荒廃させる神の裁きのための役割を担うとされている。

■アメリカ合衆国及びイギリス国家に対する見解
 米英の二国は現代世界における主要な強国であり、出版物中ではしばしば「英米世界強国」または「英米二重世界強国」と表現される。
 英米の二国は7番目の世界強国であり(世界強国は西暦前から現代に至るまで、1番目:エジプト,2番目アッシリア,3番目:バビロン,4番目:メディア-ペルシャ,5番目:ギリシャ,6番目:ローマ,7番目:英米世界強国,8番目:国際連合 と移りゆく)ダニエル書11章27節以降の預言中に度々表記されている「南の王」、啓示13章11節に表記されている野獣(「子羊のような二本の角」を持ち龍のように話す)」の正体であると解釈されている。
 
■共産主義に対する見解
 共産主義は、宗教否定により、人間のために地上に楽園をもたらすメシア(救世主)イエス・キリストの役割を不要と唱えた故に、神による裁きが下されるとされており、虐げられた人民の解放や政治的・宗教的独裁の排除等を公約してきたが、実際には何一つ人類に対する平和を実現できない無力な勢力であり、滅びは免れないとされている。ダニエルの預言ダニエル書11:36-41の中で示されている「北の王」の正体は冷戦における共産主義陣営であると解釈されている。

■他宗教に対する見解
 他のキリスト教・仏教・イスラム教・ヒンドゥー教・ユダヤ教・その他いかなる宗教も、神の王国に敵対する偽りの宗教であると主張している。また、啓示17章1節に表記されている「大いなるバビロン」が他宗教の総称であると解釈(当時のバビロニア帝国(現在のイラク)が多数の神々で入り乱れていたことに由来)されている。特に他のキリスト教(カトリック・プロテスタント・ギリシャ正教・その他)は「大いなるバビロン」の最も主要な部分でエホバ神が最も憎まれるものであるとされている。他宗教すべては「ハルマゲドン(全能者なる神の大いなる日の戦争)」の初期段階で壊滅すると主張している。その故に、他宗教に由来する教理や習慣はことごとく避ける。


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