ミスター・ソウルマン


1986 アメリカ
監督:スティーヴ・マイナー
出演:C・トーマス・ハウエル、アリー・グロス、レイ・ドーン・チョン
 
 黒人学生対象の奨学金欲しさに黒人に変装するる学生の話し。人権差別をテーマにし、しかもそれを告発調ではなくコメディータッチで描いている。すごい映画だと思った。


(ストーリー)
 マーク(C・トーマス・ハウエル)は、経済的に何一つ不自由のない学生で、友人ゴードン(アリー・グロス)と共に、ハーバード大学法学部に合格、将来へのパスポートも入手した。が、世の中そう甘くはない。マークの両親が、マークの進学に関する金銭的援助はいっさいしないと言い出したのだ。

 進学のための必要金額は5万3000ドル。マークは、何とか稼ごうといろいろ試みるが、どれも失敗。ついに、ロス出身の黒人学生のみに適用される奨学金制度に飛びついた。――そして、その日から、黒人マークが誕生。スーパー陽焼け薬(タニング・ピル)を使っての変身だ。

 大学ではマークを黒人とみなし、マークのアパートのオーナーであるダンバー(レスリー・ニールセン)は何か理由をつけて、黒人マークを追い出そうとしていた。ダンバーの娘ホイットニー(メロラ・ハーディン)は、黒人ということでマークに迫る。大学の歓迎会でマークは、黒人女学生サラ(レイ・ドーン・チョン)にひかれ、刑法の時間など、きっかけを見つけては彼女に接近。一方、黒人であるがための、いやな体験もするマーク。

 刑法のバンクス教授(ジエームス・アール・ジョーンズ)は、マークに黒人だから甘えてはいけないという、厳しい考えの黒人だ。初めは甘えていたマークも、教授の考えに応えて、勉学にはげむ。そしてサラがマークのために奨学金がもらえず、一人息子までいる決して豊かでない生活をしていることを知る。悩むマーク。そんな折り、マークは教授から学生司法協会の一員になるよう誘われた。事態は急展開を始める。何と、マークの部屋で、ホイットニーとサラ、そしてマークの両親が鉢合わせ。

 クリスマス休暇が終わり、学生司法会が開かれ、マークはついに、自分が白人であることを告白する。さらに、今までの奨学金は利子付きでサラに返し、黒人コミュニティのボランティアをし、将来奨学金制度を自ら設立することを教授に約束。教授はマークがハーバードに残ることを許し、サラもようやくマークを許し、2人は黒白のへだたりなく愛し合うのだった。

(キネマ旬報)


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