ボビー流操縦術(ロッテ)



 プレーオフを勝ち抜き、日本シリーズは破竹の4連勝で31年ぶりの日本一を達成したロッテ。長く低迷したチームが生まれ変わった背景に迫った。
 1軍の編成がまだ固まっていない2月に、バレンタイン監督は捕手の併用を決めていた。「昨季、正捕手と考えていた里崎が故障したとき、橋本がいい働きをした。この成長を止めたくなかった」

 直感を信じ、大胆なリードが持ち味の里崎と、データ重視の橋本は同い年のライバル。指揮官も「2人とも他球団ならレギュラー」と認める存在だ。傑出した選手のいないチームに競争を取り入れ、戦力に厚みを持たせるのが狙いだった。
 定位置が固定されなければ選手の不満は募るが、同監督は「2人とも正捕手」と言い続けた。打力でやや劣る橋本を時折、中軸で起用。信頼できる選手であることを周囲に納得させようと気配りも忘れなかった。

 「片方が使えないとき、チームに不安が生じてはいけない。投手陣はシーズン途中から、どちらでも気持ち良く投げられるようになったね」と同監督は振り返る。

 プレーオフ第1ステージ。里崎が発熱で出場が危ぶまれても、チームに動揺はなかった。先発した橋本は期待通りのリードで2連勝、その後は再び併用で頂点に駆け上がった。橋本は「出られない試合はベンチで勉強した。休養が好プレーにつながったことも確かだと思う」。
 二遊間や外野の選手起用も同様だった。戦力を完ぺきに掌握し、巧みに操る。「ホビー流」の周到な仕込みが実を結んだ末の日本一だった。

(琉球新報 2005-10-28)



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